男性が高収入でスペックがいいとお見合いはなんとか組めるのだが、お見合いを終えた女性たちは、「ジェネレーションギャップを感じました」「上司と話しているようでした」「父親にしか思えなかった」と、自分の年齢はさておき、お断りの理由が手厳しい。
私は面談ルームで誠一に尋ねた。
「これまで結婚しようと思ったことはなかったんですか?」
すると、彼は言った。
「20代、30代、40代、ずっと結婚したいと思っていましたよ。むしろ大学を卒業したら、すぐに結婚をしたかった。ただ女性とお付き合いをして、“この人と結婚したいな”という方とは、うまくいかなかった。そんなことが続いて、今まで来てしまったんです」
「私の家は、かなり壊れていたんですよ」
ただ、目の前の誠一を見ていると、結婚できなかったことが不思議に思えた。見た目も役者のようにハンサムだったし、これまでの経歴も華々しかったからだ。
有名国立大学の出身で、在学中には大学の推薦を受けて、ある国に国費留学をした。卒業後に入社したのは、誰もが知る日本の有名な会社で、現在の年収は1500万円近く。物腰優しく、終始笑顔をたやさず、会話のキャチボールもできる人だった。
さらに、彼の口からは、驚くべき言葉が出てきた。
「私の家は、かなり壊れていたんですよ」
それだけに、人一倍温かな家庭を築くことを夢見ていたというのだ。
誠一は、どんな生い立ちだったのかを語り出した。
「職人気質の父は、カーッとなると家族に暴力をふるう人でした。遡れば、私の父の親というのがまたひどい人たちで、父は親に愛情をかけてもらうことなく大人になったんです」
誠一の父親は、10代で両親(誠一の祖父母)から丁稚奉公に出された。母親は後妻で、継母だったという。
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