「健康番組の情報」鵜呑みにする高齢者の超危険 インターネットの健康情報も怪しいものが多い
高齢になるほど、かかりつけ医などから情報を得ることが多くなるという調査結果があるのは、喜ばしい傾向であるといえるでしょう。
最近は、薬局で薬をもらう際に、薬のことや病気のことについて、薬剤師に気楽に尋ねられる環境ができつつあります。以前は、病院でないと処方してもらえなかった薬が薬局で手に入ることも増えました。医療者と患者さん、一般の方々とのコミュニケーションを考えると、薬剤師が果たす役割は大きくなってきていると思います。何か疑問があれば、薬局で気軽に聞いてみるのも、一つの方法です。
インターネットの健康情報も怪しいもの多い
薬や病気の治療について調べたいとき、インターネットであれば「どのサイトを見るか」は非常に重要です。一つ安心できるのは、以前ディー・エヌ・エーにより運営されていたメディア「WELQ」の誤情報が問題となった際、グーグル社はSEOを変更して公的な情報や信頼できる情報が上位に表示される仕組みに変更しました。このため、本書執筆時点では多くの医療情報に関して、公的ページが上位に表示される仕組みになっています。
例えば、「大腸がん」をキーワードに検索エンジンのGoogleで検索すると、国立がん研究センターの「がん情報サービス」が最上位に表示され、診断や治療についての正確な情報が手に入るようになっています。
どうしても、テレビやインターネットのメディアが扱う情報は断片的になりがちです。インターネットを使って何か情報を得ようとするのなら、まずはこのような公的なページで病気について一通り調べ、基本的なことがらを把握するのがよいでしょう。
また、病気になったときに使える制度は、厚生労働省や自治体のページに掲載されています。あわせてそちらも見てみましょう。
がんをはじめとするさまざまな疾患について、現在は「ガイドライン」が出版されています。日本で診療ガイドライン作成を支援している、Minds(厚生労働省委託事業EBM普及推進事業)によると、診療ガイドラインとは、「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその相対評価、益と害のバランスなどを考慮して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」と定義されています。
簡単な言葉で言い換えると、さまざまなエビデンスを統合して、診断や治療に対して、どの方法がどの程度勧められるのか、あるいは勧められないのかが書いてある文書のことです。
ガイドラインでは、その診断や治療を勧めるのにどの程度確証があるかを、A—Dに分けています。一般的には、AやBであれば、その診断法や治療法は勧められるということを意味します。
B=行うよう勧められる。
C=行ってもよいが、十分な科学的根拠がない。
D=行わないよう勧められる。
ところで、「ガイドライン」は通常、あくまでも医師をはじめとする医療従事者が、診療の指針として使用するものであることに注意しなければなりません。
しかし、大腸がんや乳がん、子宮がん、膵がんなどでは、患者さんのためのガイドラインや、ガイドライン解説の本も出版されています。これらの本は、自分が受ける予定の治療の説明を聞くのにも参考になりますし、医師への質問や、医師との話し合いにも参考として使用できます。
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