ぼる塾「田辺さん」に目が離せない人続出のワケ 売れっ子女性芸人の知られざる軌跡
田辺をテレビで見ていて気づくのは、誰もが彼女のことを「田辺さん」と呼んでいることだ。相方たちはもちろんのこと、ダウンタウンやウッチャンナンチャン、東野幸治や有吉弘行といった先輩芸人たちも、彼女のことをこぞって「田辺さん」と呼ぶ。ぼる塾の中でも年長者の田辺。メンバーからは「田辺さん」と敬称をつけて呼ばれているのだが、そんな彼女たちの関係性にいつの間にか周囲も巻き込まれている格好だ。
そんな田辺の経歴は起伏に富んでいる。芸人になる前は、東京ディズニーリゾートの土産店で働いていた彼女。しかし、20代後半でギャルに憧れた彼女は、渋谷の109で働きたいと思い突然仕事を辞めた。109は年齢制限で勤めることができなかったものの、渋谷に通って10歳近く年下の女の子たちと付き合い始めたという。
「芸人になる前にギャルをやっていたんですよ。渋谷のギャルっていうのはごはんを食べないんですよ。ホントに食べなくって、アイスがごはんなんですよ。一緒にいるグループの子がごはんを食べないから、あら、私食べたらヤバいのかなって、食べなくなってきた」(『又吉直樹のヘウレーカ!』NHK Eテレ、2020年11月18日)
「好き」だからやる
ちょうどそのころ、彼女は新選組にもハマっていたらしい。いわゆる“聖地巡礼”をしていたところ、たまたまロケをしていた占い芸人の島田秀平に遭遇した。手相を見た島田は「人気者になる」と田辺を絶賛。その言葉をきっかけに芸人になる決心をし、彼女は29歳で吉本興業の芸人養成所であるNSC東京校の門を叩くことになったという。ただし、昔からお笑いに関心があったわけではないようだ。
「私あんまりお笑いを見てこなくって、あんまりわからなくて。でも唯一ハマったのが三瓶さんなんですよ。だからいま私のこの喋り方っていうのは、もしかしたら三瓶さんと、あと『ちびまる子ちゃん』から私はできてます」(『アメトーーク!』テレビ朝日系、2020年9月10日)
以上のような経歴からは、田辺の半生はある意味で行きあたりばったりにも見える。しかし、そこでつねに指針に置かれてきたのは自身の「好き」という気持ちだったのだろう。「好き」に導かれるままに、いつの間にか人生の転機を迎えてきたともいえる。