コロナで起きた世界的な「電車離れ」の末路 「脱炭素」計画の支障になる可能性も
インドの首都ニューデリーでは、何カ月という営業停止期間を経て9月に地下鉄が再開されたが、2月の利用者数は前年同月が570万人超だったのに対し、260万人を下回った。バスの利用者もパンデミック前の半分を若干上回る程度にすぎない。
とはいえ、インドやヨーロッパなどのように、政府から援助が得られる公共交通機関はまだマシだ。私営バス会社への依存度が高い都市では、問題はさらに深刻なものとなっている。
「新常態」に合わせて生まれ変われるか
ナイジェリアの大都市ラゴスの私営バス路線では、1キロメートルを超える区間の運賃が2倍になった。
かつて称賛されていたリオデジャネイロのバス路線も、今ではガタガタだ。リオデジャネイロの交通課によれば、利用者が昨年3月から半減する中、バスを運行していた民間企業が車両数を3分の1以上減らし、従業員を800人リストラした。加えて運転手のストライキで、バスの運行にはさらなる遅れと混乱が生じている。
「こんな状況は今まで見たことがない」と語るのは、リオデジャネイロでバス運転手の労働組合を率いている68歳のホセ・カルロス・サクラメント氏だ。公共交通機関で50年働いてきた同氏は、「もう元どおりにはならないのではないか」と話す。
国際公共交通連合のモハメド・メズハニ事務局長によれば、あらゆる都市が抱える大きな課題は、利用者が戻ってきてくれるように公共交通システムの見直しを直ちに進めることだ。在宅勤務の広がりに合わせてピーク時の運行を調整したり、バス専用レーンを拡充してバスでの通勤をより効率的で快適なものにしたり、換気システムを改善して利用者の安心感を高めることなどが選択肢となる。
「投資を行ってきた都市(の公共交通は)コロナ後にもっと強くなっているだろう」とメズハニ氏は言う。「(そうした都市では)人々が新しい公共交通機関の利用を快適と考えるようになるからだ。最終的には、利用者の感じ方が物を言う」
(執筆:Somini Sengupta記者、Geneva Abdul記者、Manuela Andreoni記者、Veronica Penney記者)
(C)2021 The New York Times News Serivces
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