キューバ「自国ワクチン5つ開発中」という衝撃 ワクチン接種希望する観光客の誘致にもなるか
キューバはこのほか、輸出ももくろんでおり、1億個を生産したいと考えているという。同国がワクチンを市場に出したいと考える背景には、世界的にワクチンが不足気味であること、とくに開発途上国ではワクチンを手に入れることが容易ではないということがある。
現在まで世界で生産されているワクチンの80%は先進諸国に供給されているというのが現状で、ニューヨーク・タイムズ紙によると、キューバ政府は貧困国に対しては無償で提供する考えとしている。
ワクチン目的の観光もありうるか
また、同紙によると、キューバのワクチン開発者らは、「観光客に提供していくことも可能」としている。キューバ政府自体は、このことについては明らかにしていないが、認められれば、例えば観光客がワクチン目的でキューバを訪れる、と言ったこともありうるわけだ。
グラスゴー大学の講師で、『We Are Cuba!: How a Revolutionary People Have Survived in a Post-Soviet World』の著書もあるヘレン・ヤッフェ氏もアメリカの経済メディアCNBCにこう語っている。
「夏になって多くの人がバケーションに行きたいと考えたとき、キューバは非常に魅力的な旅先として自らを提示できる。すでに人々は、太陽、海、砂浜、そしてソベラナ02について語り始めている。こうした人々が、キューバにワクチンを打ちに行こうと考えても不思議はない」
一方で、著名な医学雑誌などにこれまでの臨床試験の結果が発表されたことなどはなく、専門家の間ではまだ静観する必要があると見ている。キューバのBBC駐在員ウイル・グラント氏は、キューバが1億回分のワクチンを生産する能力はないと見る。
実際、これだけの量を生産するには資金面とさらに生産設備も拡大せねばならない。長期の不況下で経済が大きく後退している中でそれを実現させるだけの経済的な余裕が今のキューバにあるかどうかはわからない。
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