台湾iPhone生産受託企業がEV市場を狙うワケ 童子賢ペガトロン会長が狙うEV市場での勝機
そんな自動車市場に、電子部品メーカーの参入の余地を与えたのが、技術面での変化だ。従来、自動車は、機械工学分野(内燃機関、ドライブシャフト、ディスクブレーキなど)の産物だったが、EVの登場によりモーター、モーターコントローラーなどの電気・電子工学、制御系、ネットワーク、レーダーとセンサ、ディスプレイパネルなどに情報通信工学の技術も必要になってきた。
台湾は、部品の組み立て、サブモジュール(周辺機器)の製造において、電気・電子工学と情報通信工学分野に強みがある。EVの登場は台湾の電子部品業界にとってチャンスなのである。
EVの登場が他市場への参入チャンスに
また、今後の業界の動きにも注目したい。スマートフォンは製品のバリエーションが減少傾向、言わば「少様化」の様相を見せているのに対し、EVは多様化へ進もうとしている。
例えば自動車の場合、既存の車種だけでも200種以上存在する。セダン、ステーションワゴン、オフロード車、スポーツカー、公共交通機関車、トラック、バン……。自動車市場はさまざまな交通手段のニーズを満たすために、製品の多様化が必須であり、多様化は自然な流れであるのだ。将来的にはEVも同様に多様化の道を進んでいくだろう。
今後、製品の種類が減っていく産業か、それとも多様化していく産業か。技術者にとって力を発揮でき、かつ重用されるのがどちらの業界かは言うまでもない。
また製品の多様化は、台湾メーカーの参入のハードルを下げる要素だ。従来、台湾の電子部品メーカーの粗利率は3〜4%と言われているが、EV産業では粗利率が15%、25%、いや30%にまで上がる可能性さえある。そのカギは、多品種少量生産と顧客の分散である。
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