今の為替は「金利」と「コロナ対応」で動いている

2020年の「需給の厚み」で動く相場は一巡した

現在、対ドルで年初来上昇している通貨の中にも経常黒字通貨はあるが、そのうちノルウェークローネやロシアルーブルは原油価格の復調に後押しされたものであって黒字が評価されているわけではないだろう。産油国通貨で経常黒字という意味ではメキシコペソも同一グループのはずだが、新型コロナ感染抑制のため行動規制が2月に強化されたうえ、大統領の感染なども重なり敬遠されている。

そのほか年初来上昇している通貨は英ポンドを筆頭にワクチン接種ペースを含め感染拡大防止策が奏功している国の通貨が目立つ。英ポンドはG7の中で図抜けたワクチン接種回数を誇り、効果が目に見えて出始めている。オーストラリアやニュージーランドの通貨も対ドルで上昇幅を維持しているが、この2カ国は徹底した水際対策で知られる国だ。感染抑制策が奏功している事実自体、当該国の景況感の改善と金利上昇を意味するため、そのような通貨が対ドルで大崩れせずに、むしろ上昇していることに大きな不思議はない。

円安・ユーロ安は止まるのか

「需給」がテーマにならない限り、日本円が評価されることはない。「金利」に関しては、3月8日、日銀の雨宮副総裁が「緩和効果が損なわれない範囲内で金利はもっと上下に動いてもよい」と述べたことが話題となっているが、上下どちらの方向の話をしているのか定かではないし、上昇方向の話だとしてもあくまで「緩和効果が損なわれない範囲内で」は「イールドカーブコントロール(YCC)の範囲内で」という意味なのだろう。とすれば、円金利上昇が円相場の支えになることは考えにくい。

「コロナの抑制状況」というテーマに関しても、ワクチン接種回数という最重要事項で日本はG7の中で圧倒的に最低な立ち位置にある。もはや下手をすれば「日本売り」というテーマが、一時的にでも浮上しそうな体たらくである。

片や、ユーロ圏はワクチン接種が相応に進んでおり、その点で円よりは買われる筋合いにあるが、域内の与信環境に不安を抱えているため、アメリカの金利に連れた域内金利の上昇をECB(欧州中央銀行)が容認することはないだろう。結局、「金利」と「コロナの抑制状況」が為替市場で幅を利かせる以上、円やユーロが評価されるのは難しいという読みが妥当ということになってきそうだ。

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