日本の常識「中国=一党独裁国家」は本当なのか 実は8つの小政党も、合法的に認められている

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対して致公党側の中国共産党に対する姿勢はどうか。公式ホームページに掲載された「中国致公党章程」(2017年12月5日改定)の総綱では、みずからの立場をこのように説明している。

中国致公党の政治綱領とは、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、"三つの代表"重要思想、科学的発展観、習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想を指導原理とすることを堅持し、中国共産党による指導を堅持し、習近平同志を指導の核心的地位とすることを擁護し、中国の特色ある社会主義の基本的理論・基本的路線・基本的方策を堅持し、「長期共存し、相互に監督し、肝胆を相照らし、栄辱を共にする」基本的方針を堅持し、一体性と多様性が互いに揃うことを堅持し、のびやかで穏健かつ団結していて調和の取れた政治環境を保ち、「公の為に力を致し、華僑として国に報じる」考えを堅持し、参政党としての役割を適切に果たし、最大公約数を見つけ出して最大の同心円を描くことである。中国の特色ある社会主義の偉大なる旗幟(きし)を掲げ(略)中華民族の偉大なる復興による中国の夢の実現のために共に戦う。

共産党の外郭団体に

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完全に「党八股」(中国共産党の政治的文書によく見られる空疎な形式ばった筆法)で書かれており、もはや独立した政党の綱領とは思えない内容だ。事実、名目上は他の政党の指導者である習近平を「習近平同志」と呼ぶほど、致公党は共産党に取り込まれている。というより、いまやほとんど共産党の外郭団体と化している。

事実、致公党の前主席で北京大学の副校長だった羅豪才は、なんと中国共産党の党籍を致公党籍と同時に保持する二重党籍者だった。また致公党の過去の幹部も二重党籍の人物がかなり多い(なお、こうした共産党寄りの綱領や党首の二重党籍は他の民主党派でもしばしば見られる)。

見方を変えれば、中国共産党は秘密結社・洪門を政権内に取り込み、建国以来70年以上も国家を運営してきたという驚くべき側面を持っているとも言えよう。

安田 峰俊 ルポライター

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やすだ みねとし / Minetoshi Yasuda

1982年、滋賀県生まれ。立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。著書『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)が第5回城山三郎賞、第50回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

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