プリウス/アクアの販売が4年で6割も落ちた訳 ハイブリッドの代表としての役目は終わったか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

まずは、プリウスについて考えたい。トヨタの販売店に尋ねると、以下のような回答をえた。

「以前は、ハイブリッド車ではプリウスが定番でした。特に3代目は室内が広がって質感も高まり、ファミリーから法人のお客様まで好調に売れました。しかし、今はミドルサイズワゴンの『カローラツーリング』、ミニバンの『シエンタ』、SUVの『C-HR』など、大半のトヨタ車にハイブリッドが用意されます。お客様がプリウスにこだわる必要が薄れました」

以前は「ハイブリッド=プリウス」だったが、ハイブリッドパワートレインがいろいろな車種に展開されたため、需要が分散されたというわけだ。

2018年のマイナーチェンジでデザイン変更された現行「プリウス」(写真:トヨタ自動車)

大きかったプリウスαの存在

別の理由として、「プリウスα」の設計が古くなったことも挙げられる。プリウスαは、3代目プリウスをベースに開発された車内の広いワゴンで、3列目のシートを備えた7人乗りもある。実は、プリウスα登録台数は、プリウスに含まれる。

プリウスαは2011年に発売され、当時は車内の広いハイブリッドが少なかったため、人気車になった。発売後1カ月の受注台数は5万2000台と好評で、2013年の時点でも、プリウスαだけで約10万4000台が登録されていた。プリウス全体の約40%をプリウスαが占めており、プリウスの販売台数を押し上げた。

3列シートの7人乗りも設定される「プリウスα」(写真:トヨタ自動車)

4代目となる現行プリウスが好調に売れた2016年も、プリウスαは発売から約5年を経過しながら、年間登録台数3万台弱を確保していた。それが2020年には、約6000台まで減っている。つまりプリウスαの登録台数も、4年前の20%まで落ち込んだのだ。

前述のとおり、今のトヨタ車ではコンパクトカーから大小のミニバン、SUVまでハイブリッドが豊富に用意される。これに伴ってプリウスαの需要も下がり、設計も古くなって売れ行きを激減させた。

2020年には、国内で販売された小型/普通車の51%をトヨタ車(レクサスを含む)が占めている。そうなればトヨタ車同士の競争も激しくなり、5ドアハッチバックのプリウスとプリウスαが、ほかのトヨタ車に需要を奪われるのも当然だといえる。

それなら、アクアはどうか。この点についてもトヨタの販売店に尋ねた。

次ページ設計の古さは隠せない
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事