集団的自衛権、黒幕の米国が考えていること 日米安保体制はますます米国の思うまま
日本に向けられるこうした安保ただ乗り論に対し、日本はどう反論したらよいのか。
ワシントンの軍関係者の中でよく使われる言葉に、「ティラニー・オブ・ディスタンス(Tyranny of distance、距離の過酷さ)」がある。この言葉を理解しておくと、米軍にとっての沖縄や横須賀をはじめとする在日米軍基地の戦略的・地理的価値がよく分かる。
このフレーズは遠距離恋愛のつらさを言う場合にも使われるが、米軍の世界戦略を論じる際、昔からよく米軍関係者の間で使われてきた言葉だ。しかし、日本では全然、使われていない。記事データベースの日経テレコン21で、過去記事を検索しても、一件もヒットしない。つまり、日本国内ではあまり意識されていない概念だ。
日米安保に伴う米軍のコスト削減効果は莫大
ティラニー・オブ・ディスタンスの意味はこうだ。
米国から見た場合、日本は太平洋を越えた反対側にある。米国の西海岸から西太平洋の日本までは、地球の地表の50%以上を占め、16個のタイムゾーン(時間帯)をまたぐ。航空機でも片道十数時間、船では平均航行速度15ノット(約28キロ/時)で約2週間かかる。
この広大な太平洋を渡る距離、船で片道2週間という時間を、米国は日本に米軍を置くことで節約できる。1日およそ100万ドル(約1億円)とされる空母の運用経費だが、横須賀を母港にとどめておけば、空母だけでも、太平洋横断経費の片道1400万ドル、往復で2800万ドルを節約できる。いちいち米西海岸のサンディエゴ海軍基地から空母を派遣しなくても済むのだ。
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