英「ワクチン接種」、鉄道会社が担う重要な役割 「大型会場」になった競馬場最寄り駅に停車

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新型コロナワクチンの接種会場になっているニューブリー競馬場駅に臨時停車する、グレートウェスタン鉄道(GWR)の高速列車(写真:Great Western Railway)

日本でようやく新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まる中、世界最速で接種がスタートした英国では、接種人数がすでに1500万人に到達した。これまでに10万人もの人々がコロナ感染で亡くなっている経緯もあり、迅速なワクチン接種進展のニュースは英国民の間に明るい話題として広がっている。

まさに人海戦術で進められている英国でのワクチン接種だが、鉄道運行オペレーターは長距離優等列車を「大型接種会場」となった競馬場に臨時停車させ、周辺住民の便宜を図ることにしたという。いったいどんなスケールで接種を進めているのだろうか。

50代以上と高リスク者「5月末までに」

英国でのワクチン接種は、2020年12月8日にアメリカの製薬大手ファイザーがドイツのビオンテックと共同開発したワクチンに使用承認が下りたのを皮切りに、これまでに英国のアストラゼネカ製、そしてアメリカのモデルナ製にそれぞれ承認が下りている。

2020年3月、コロナ禍の端緒に発令された最初のロックダウン以来、英国では合計3度のロックダウンを経験。しかも昨年後半には変異株が見つかるなど、欧州では感染拡大が最悪レベルの国の1つになってしまった。そんな中、早急なワクチンの接種が感染抑制策と並ぶ大きな課題として進められてきた。

英保健当局、国民保健サービス(NHS)は2020年12月、50代以上の国民全員と、感染した場合に重篤化のリスクが高い人々への接種を「2021年5月末までに終える」とする目標を掲げた。「かかりつけ医」で問診をしながらの接種では効率的でないという判断から、手始めに地域のサッカーグラウンドなどまとまった広さのある施設に「ワクチンセンター」と名づけた接種会場の開設を進め、1日数百人程度の接種に対応できるよう手はずを整えている。

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