日本経済の足を引っ張る「ワクチン接種遅れ」 コロナの経済影響は欧米ほど大きくなかったが
日本経済が2020年10〜12月期に大きく回復したことが、2月15日発表の政府速報値で明らかになった。同年上半期に受けた新型コロナウイルスの壊滅的な打撃からの回復が続いた格好だ。
だが、その足取りは脆弱で、少なくとも短期的には簡単に腰折れする可能性があるとエコノミストらはクギを刺す。今年早々に宣言された2度目の緊急事態宣言により、日本経済は再びマイナス成長に落ち込む可能性が高い。観光などコロナ禍で打撃を受けた業界や消費者のマインドが回復するには、多くの国々と同じく、まだ何年もかかるだろう。
アメリカ、中国に続き、世界で3番目の経済規模を持つ日本の10〜12月期実質国内総生産(GDP)成長率は7〜9月期に対し3%、年率で12.7%増えた。2期連続のプラス成長だ。7〜9月期の成長率は、全国的な緊急事態宣言が解除され、経済の正常化がそれなりに進む中で前期比5.3%増(年率換算22.9%増)と急反発していた。
旅行、外食、『鬼滅』でGo To 一時回復
10〜12月期のGDP成長について、第一生命経済研究所の永濱利廣・首席エコノミストは「輸出と個人消費が最大の牽引役になった」と話す。コロナ禍の中で積み上がっていたペントアップ(繰り延べ)需要が顕在化し、経済を押し上げたというわけだ。
日本経済は消費増税、米中貿易戦争の過熱、大規模な台風被害から足腰が弱まった状態で2020年を迎えていたが、そこにコロナ禍という強烈な一撃が襲いかかった。他国の経済が大打撃となる中、2020年の日本経済は1955年のGDP統計開始以来で2番目の落ち込みを記録した。
ただ、日本の経済被害は欧米ほど深刻なものとはならなかった。主に感染防止対策のおかげといえる。