あのVWが運営する「テーマパーク」驚きの中身 テーマパーク「アウトシュタット」の魅力
欧州では、新車を工場で受け取る人は少なからずいる。もちろん、住まいに近い販売店でも受け取れる。……が、新しい愛車の生まれ故郷を訪ね、新しい愛車とともに旅を楽しみながら家に戻る……そんな、一生の思い出になる選択肢を選ぶ人も少なからずいるということ。
地元のドイツからだけではなく、欧州各国からも多くが訪れるようだ。「日本からの方もいらっしゃいますよ」と聞いた。受け取った新車で欧州ドライブ旅行を楽しむ……そして、最後に、ハンブルク等の港へ行き、日本への輸送手続きをして旅を締めくくるということだ。
クルマはタワーからカスタマーセンターに移され引き渡される。が、その前にツインタワーを見上げ、「あの中に僕のクルマがあるんだ!」と思ったときの鼓動の高まりは、一生ものの思い出になるだろう。
余談になるが、カータワーをガラス張りのエレベーターで上下したことがある。色とりどりの新車400台が埋め尽くす中での垂直上下移動も異次元感覚の体験だった。
この敷地内にはVWグループ各社(VW、アウディ、ポルシェ、シュコダ、ランボルギーニ)のパビリオンも点在する。展示車にとどまらず、モダンな建築とその空間の演出も大いに楽しめる。そのほかにも「コンツェルンフォーラム」と名付けられた博物館があり、クルマに関するあれこれの知識をわかりやすく学べる。
さらに、「コテージ」と呼ばれる建物には、世界から集められた希少な名車が展示されている。こうした施設は、誰にでも親しみやすい雰囲気で構成されている。クルマに特別な思いを抱いていないような人でも、子どもでも……わかりやすい、なじみやすい構成になっているということだ。そんなこともあってか、アウトシュタットには家族連れが目立つ。そして、大人も子どももみんな楽しげだ。
さらに楽しいリッツ・カールトンでの宿泊
アウトシュタットにはホテルも併設されている。それも「リッツ・カールトン」が。ウォルフスブルクには「世界のVWの本社」こそ存在するものの、大都会ではない。小さな一地方都市にすぎない。本来なら、リッツ・カールトンが存在することなど考えられない。
しかし、アウトシュタットの計画に当たって、フェルディナント・ピエヒは、最高の寛ぎとサービスを提供できるホテルが絶対に必要……と考えたのだろう。リッツ・カールトンが選ばれた経緯は知るよしもないが、「ピエヒの美意識」を考えれば頷くことができる。
僕はアウトシュタットに4度行ったが、いつも、リッツ・カールトンに泊まった。アウトシュタットももちろん楽しいが、それよりも、「リッツ・カールトン・ウォルフスブルク」に泊まる方がさらに楽しい。