独自の家電開発などを手掛けるツインバード工業の野水重明社長はブルームバーグとのインタビューで、新型コロナウイルス向けワクチンの保存や運搬に使われる保冷庫の大量受注を契機に、医薬品の低温物流(コールドチェーン)の分野で顧客を新規開拓していきたい考えを明らかにした。
保冷庫の月産台数を10倍超の4000台に引き上げ
ツインバードは1月に米モデルナ製ワクチンの保管や国内流通などを手掛ける武田薬品工業から5000台を受注したと発表した。野水社長はこれにより医療現場での存在感が高まり、コールドチェーンの中で「スタンダードの技術に採用される」という目標に向け注力できるとみている。
新型コロナワクチン関連でも「サンプルレベルの受注からある程度まとまった受注」まで海外からも引き合いがあると明かした。武田薬品からの受注が「一過性とならない」よう広く需要を取り込む方針だ。同社は保冷庫の月産台数を従来の10倍超の4000台に引き上げ、昨年10月には約4億円を投じて新潟県燕市の工場内に生産ラインを増設した。
ツインバードの保冷庫はマイナス40度まで温度管理できる。政府はモデルナ(保管温度マイナス20度)のほか、英アストラゼネカ(同2-8度)や米ファイザー(同マイナス70度)ともワクチン供給で契約。厚生労働省は14日、ファイザー製の製造販売を特例承認し、17日から一部医療関係者への接種が始まる。
機動的な自己株式の取得も考える
ツインバードの株価は1年前の500円前後から6月以降急伸し一時2000円を超えた。野水社長はこれほどの上昇は「想定していなかった」ものの、「上場時に投資頂いた方にも一つの結果を示せた」と語った。株主還元については「段階的に配当を引き上げたい。機動的な自己株式の取得も考えている」と述べた。
同社は武田薬品からの大量受注などを受け、1月に今期(2021年2月期)の営業利益予想は3億2000万ー4億3000万円(従来2億5000万円)に上方修正した。約20年前から生産する保冷庫のほか、調理機器や生活家電の製造を手掛ける。容量25リットルの保冷庫のサンプル価格は1780ドル(約18万7700円)。
著者:古川有希
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