社員のクチコミと企業業績・株価との深い関係 「体質」「古い」「年功序列」は業績悪化のサイン?

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まずは「売上変化率」と各企業群の分析をすると図表2のとおりとなった。表中にある-1.6%や、1.5%の数字は、該当する項目のベンチマークとの差の中央値(順番に並べて真ん中となる数字)となる。ベンチマークとは基準となる売上変化率の水準である。

売上変化率のベンチマークとの差が「統計的に負に有意(マイナスの数値となっており、有意水準が認められるもの)」という関係がある企業群は、言い換えれば他の企業群に比べて売上高が成長しにくいことを表している。

ここで用いられている統計的検定は同グループ内での期待値がプラス方向にずれているのか、マイナス方向にずれているのかを検定するWilcoxon符号付順位和検定というものを用いている。

なお、「統計的に有意」とは、同グループ内のベンチマークとの差の期待値が0ではない、つまり差がある可能性が高いことを表し、その有意水準である確率が低いほど「統計的に有意である」といい、0であることが極めてまれに起こる、つまり0ではない、つまり差がある可能性が高いと解釈される。

図表2では、「組織状態が悪い水準にあり、その状態が維持された企業群」と「組織状態が悪い水準にあったが、さらに悪化した企業群」では、売上高変化率が統計的に有意に負となった。

この結果より、組織状態がもともと悪い状態にあり、その状態が維持されるか、もしくは悪化し続けると、売上変化率が下がり、将来の企業成長の阻害要因になってしまうということである。

組織状態の悪化と負債比率の増加は相関関係にある

続いて、「負債比率」と各企業群の分析結果を共有したい。

負債比率と「統計的に正に有意」である企業群は、言い換えれば他の企業群に比べて負債比率が大きくなる(相対的に借金が大きくなっている)傾向があるということを表している。図表3では、「前年の組織状態が良く、その状態が維持された企業群」「組織状態が良かったが、悪化してしまった企業群」が該当する。その負債化率の増加幅は、「組織状態が良かったが、悪化してしまった企業群」のほうが大きくなる傾向にある。

つまり、組織文化の急な悪化が将来の財務的なリスクに影響を与えている可能性があるのだ。

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