知る人ぞ知る「東武の宇都宮線」その奥深い世界 おもちゃのまち、大谷石の駅舎、そして"廃線跡"

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おもちゃのまち駅から北に進み、安塚駅を出てしばらくすると壬生町から宇都宮市に入る。宇都宮市で最初の駅は西川田駅だ。この西川田駅、熊倉さんにはちょっとした思い出があるという。

2022年には国体のメインスタジアム最寄り駅になる西川田駅

「実はですね、昔、西川田の駅の近くに運転免許の試験場があったんですよ。今は鹿沼に移ってしまって、西川田にあったのはだいぶ昔のことなんですが。私は栃木市出身なもので、免許を取るために西川田に行った思い出があります。駅から15分くらいは歩いたでしょうかね……。試験場に行く若い人たちで結構にぎわっていたように覚えています」(熊倉さん)

運転免許の試験場のほかには、西川田駅の近くにはかつて宇都宮競馬場という地方競馬場があった。43勝を挙げた“栃木の怪物”ブライアンズロマンやミスターピンクの愛称で知られる内田利雄騎手の活躍などもあったが、売り上げ不振で2006年3月限りで廃止されている。今でも西川田駅の近くに宇都宮競馬場の名が刻まれた廃駐車場があったり、駅の北側で踏切をまたぐ通りを「競馬場通り」と呼ぶなど、競馬場現役時代の残滓がかすかに残る。

“スポーツの駅”と廃線

で、その競馬場の跡地はどうなっているのかと赴いてみると、でっかいスタジアムが建っていた。収容人員2万5000人、カンセキスタジアムとちぎというらしい。

宇都宮競馬場跡地に建設されたカンセキスタジアムとちぎ(筆者撮影)

「12月にJリーグの試合をやったんです。J2の栃木SCの主催試合としてジェフユナイテッド千葉とジュビロ磐田と2試合。当社でも宇都宮線に臨時列車を走らせました。さらに2022年には国体(いちご一会とちぎ国体)のメインスタジアムになる予定です。それにあわせて駅でもバリアフリー化の工事を進めていますし、他にも壬生町で銃剣道やクライミング競技も行われるので、私たちも体制を整えて協力できればと思っています」(熊倉さん)

あらゆる競技が行われ、全国各地から選手や観客がやってくる国体は開催地にとって一大イベント。栃木SCは2021年シーズンの開幕戦をカンセキスタジアムで予定しているなど、西川田駅は“スポーツの駅”として今後注目を集めることになりそうだ。そしてこの駅、鉄道ファンにとってもぜひ訪れておきたいポイントがある。“廃線跡”だ。

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