知る人ぞ知る「東武の宇都宮線」その奥深い世界 おもちゃのまち、大谷石の駅舎、そして"廃線跡"

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「やはり県庁がありますから、下り列車にはなるんですけど朝には栃木方面から宇都宮までご利用になるお客さまが中心ですね。上り方面では新栃木駅や栃木駅周辺に高校がいくつもあるので、学生さんの利用が増えます」(熊倉さん)

ここで同じく東武栃木駅管区の新栃木駅長・立川治さんも加わる。

「県立高校がほとんどで、あとは私立の国学院大学栃木高校ですかね。どの高校も少し駅から離れているので、栃木駅や新栃木駅に自転車を停めておいて、駅から学校までは自転車で通われる学生さんをよく見かけます。栃木近辺、宇都宮線ですと壬生町などから来るんです」(立川さん)

特急「しもつけ」で活躍した350型(編集部撮影)

宇都宮市内に通勤するお客と、栃木方面に通学するお客。それらが入り交じるのが東武宇都宮線の日常の光景というわけだ。昨年の春までは東武宇都宮駅と浅草駅までを結ぶ特急「しもつけ」も走っていた。

350型電車の唯一の定期運行列車として鉄道ファンの間でも人気のあった列車だったが、昨年のダイヤ改正で廃止されてしまったのだ(最終運行は2020年4月24日で、以後運休のまま6月のダイヤ改正に伴い廃止)。「しもつけ」のダイヤは朝の上りと夜の下りの1日1往復。典型的な“通勤特急”であった。

2020年12月には「ありがとう白い特急350型『しもつけ』臨時列車ツアー』を実施した。

ファンには人気だったが…

「そのときはもう満席に近いくらいでたくさんの方に来ていただきました。ただ、日常的な利用はというと、やはり少なかったですね。どうしても東京方面への通勤というと早さでは新幹線がありますから……」(立川さん)

それでも毎日決まった場所に座って東京方面に通勤するような「しもつけ」の常連客もいたという。少ないながらも東武宇都宮線で都心へ通勤する人もいるのだ。その点、6月のダイヤ改正以降は朝と夜の一部を除く大半の列車が日光線に直通して南栗橋発着となった。さらに特急との接続も改善されており、一定の利便性は確保されているといっていい。

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