ソフトバンクG、10兆円ファンド好調が隠す課題

ファンドの含み益は2兆円に急拡大した

2月8日に行われた決算会見では、孫社長は「ソフトバンクグループは金の卵の製造業だ」と豪語。ソフトバンク・ビジョン・ファンドで有望なベンチャー企業に投資することで大きな利益を生める自信を示した(記者撮影)

「3兆円はそれなりの数字だが、喜ぶようなものでもない。むしろ、この程度であるのが恥ずかしい」

2月8日に発表されたソフトバンクグループ(SBG)の2020年4~12月期決算。3兆0551億円の純利益をたたき出したにもかかわらず、決算会見に臨んだSBGの孫正義社長は、これだけの利益を生み出してもなお飽き足らない様子だった。

莫大な利益の大半を占めたのが、10兆円以上の資金を世界中のベンチャー企業に投資するソフトバンク・ビジョン・ファンドだ。2017年から運用する1号ファンドと2020年開始した2号ファンドで合わせて2兆7288億円の投資利益を計上した。

大部分が保有する上場株の値上がりと未上場株の公正価値上昇による含み益で、2兆0842億円に上る。直近の株価上昇などにより、決算発表時点では「さらに数千億後半の利益が乗っかっている」(孫社長)という。

「SBGは金の卵の製造業」

中でも驚異的な含み益をもたらしたのが、2020年12月に上場したアメリカのフードデリバリーサービス最大手、ドアダッシュだ。ビジョンファンドは2018年から4回にわたって総額約700億円を投資したが、上場後の12月末時点での時価は約9300億円にハネ上がった。

さらに2018年12月に約7900億円を投じ、翌年5月に上場したアメリカのライドシェア大手ウーバー・テクノロジーズは、一時株価が暴落したが2020年後半に持ち直し、12月末の時価が1兆1700億円となり、こちらも大きな含み益を生んだ。

「ソフトバンクグループは金の卵の製造業なんです」。孫社長は唐突にそう語った。金の卵とは主に投資利益100億円以上で売却した企業を指す。「ガチョウに例えると、情報革命のみに特化して、餌を食べてお腹に卵を貯めていく。白い卵が金の卵になって産まれていく。それはたまたまではなく、計画的に産んでいく」。金の卵を産むガチョウ――。これは数年前の決算会見でも用いた表現で、孫社長は久々に引き合いに出してきた。

「ビジョンファンドは腐った卵しか産まないと言われてきた。だがこれ(利益水準)を見てもらえれば、そうではないことがわかってもらえると思う」。2020年3月期は投資先の1つである、アメリカのシェアオフィス大手ウィーワークの経営問題で巨額の損失を垂れ流したビジョンファンドだが、含み益とはいえど文字どおりのV字回復を見せている。

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