日本はマシ?「コロナ規制で暴徒増」欧州の混迷 ドイツは規則順守を拒否する人の刑務所を開設

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フランスが極右政党に期待感が高まるのとは逆に、ドイツではギリシャ財政危機に始まったユーロ不安、2015年から押し寄せた大量難民によって勢力を拡大した排外的な右派ポピュリズム政党、ドイツのための選択肢(AfD)が支持率を落としている。コロナ禍で移民、難民への国民の関心が薄れているためだ。

とはいえ、メルケル政権のコロナ対策に不満の声も絶えない。ドイツ北部シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州の小さな町には、コロナ対策の規則の順守を拒否する人々を収容するCOVID刑務所を開設した。

目的はPCR検査で陽性が確認された人が自宅隔離を拒否した場合、外出不能な少年拘置所の別館に収容するというものだ。人権侵害との批判もあり、実際には使用頻度は低くても当局は「抑止になる」と説明している。

コロナ対策には国民の理解と政府への信頼が不可欠

フランスでは内務省の発表で昨年10月末から始まった2度目のロックダウン措置で2週間で22万5000件の違反・罰金が科されたことを明らかにしている。今年1月16日に導入された18時からの夜間外出禁止令では最初の3日間だけで6000人を上回る違反者が罰金を科されたことが明らかになった。昨年12月15日以降、191回の闇パーティーが確認されている。

筆者の周辺でも、コロナを恐れないフランス人は多い。政府の対策を批判し、馬鹿にする声も多く聞かれる。大手IT企業に勤める友人は「政府は嘘の数字を並べている」「対策はやりすぎで国民から自由を奪いながら、結果を出せていない」などと言っている。

国民生活を大きく制限するコロナ対策には、国民の理解と政府への信頼が不可欠だ。欧州では、その信頼が揺らいでいることを肌で強く感じる。日本よりはるかに厳しい罰則を伴った公衆衛生上の規則を設け、同時に手厚い経済補償も行っているが、感染は抑えられておらず、将来不安は高まる一方だ。ワクチン接種や景気回復が遅れるほど、事態はさらに深刻化する可能性もある。

日本では欧州のような抗議デモや参加者の一部が暴徒化するといった事態は起こっていないとはいえ、日本政府は他山の石とする必要がある。

安部 雅延 国際ジャーナリスト(フランス在住)

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あべ まさのぶ / Masanobu Abe

パリを拠点にする国際ジャーナリスト。取材国は30か国を超える。日本で編集者、記者を経て渡仏。創立時の仏レンヌ大学大学院日仏経営センター顧問・講師。レンヌ国際ビジネススクールの講師を長年務め、異文化理解を講じる。日産、NECなど日系200社以上でグローバル人材育成を担当。

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