一般人が「ライブ配信で食う」までの険しい道程 「投げ銭」で安定収入を得るための数々の努力
「ライバー」と呼ばれる職業をご存じだろうか。
「17(イチナナ)LIVE」や「LINE LIVE」といったサービス上でライブ配信を行い、お金を稼ぐ、場合によってはその収入だけで生計を立てる人たちだ。歌やダンスなど自身の特技を生かした配信を行う人もいれば、友人にするような他愛ないトークを配信する人もいる。
17ライブの運営会社によると、同社が認証するライバーは2万5000人以上に上るという。新型コロナウイルスの感染拡大以後、自宅で楽しめるエンタメとして動画市場全体が盛り上がる中、ライバーへの注目度も格段に上がった。だが、それ以前からこの市場に目を付け試行錯誤し、生業(なりわい)とするに至った人々もいる。
ライブ配信で一般にイメージされやすいのは、リアルでライブ活動を行うアーティスト、アイドル、タレントなどがファンサービスの一環として行うものだろう。あるいは、人気YouTuberが普段の動画作成・投稿の延長で行うライブ配信を思い浮かべるかもしれない。一方で既存の有名人ではない、無名の一般人がトップレベルの人気を獲得しのし上がるケースも増えている。
日本でとくに活発な「投げ銭」
ライバーたちは、ライブ配信を行う中で視聴者から「投げ銭」で収益を得るのが一般的だ。投げ銭は配信サービスによって形が異なり、直接金銭を送るタイプ、サイト上でコインを購入し、それを有料のスタンプやアイテムに換えて送るタイプなどさまざまだ。
金額はいずれのサービスも、1回数十円のものから数千、数万円に上るものまである。ライブ画面上に「波」や「大砲」など、そのスタンプごとの効果音や映像を出せる趣向を凝らしたものもあり、こうしたものを使うことで視聴者はただお金を送るというだけでなく、配信に参加し一緒に盛り上げるような感覚を味わえる。
日本ではこの投げ銭文化が活発だ。YouTubeで行われるライブ配信では「スーパーチャット」と呼ばれる投げ銭を100円から最大5万円まで、1円単位で送ることができる。
とくにVチューバーと呼ばれる二次元キャラで配信を行うバーチャルユーチューバーの勢いはすさまじく、2020年の累計金額ランキングでは上位7人を、日本を拠点に活躍するVチューバーたちが占めた。累計金額1位だったVチューバー「桐生ココ」はこの機能で1億円以上を獲得しているという(Playboard調べ)。
17ライブで配信を行う有坂卓訊(配信名:ありさかbean)さんも成功したライバーの1人だ。もともと有坂さんは15年間ほど芸能事務所に所属し、年間50本ものドラマや舞台などに出演していたが、一般にはほぼ知名度がなかった。そんな有坂さんが直近では、ライブ配信だけで生活できる人気ライバーに成長している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら