JR西日本、「ドル箱路線」不在で描く収益強化策 北陸新幹線の開業延期、荷物輸送に熱い視線

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JR西日本が運行する北陸新幹線W7系(記者撮影)

「JR九州と連携して、山陽・九州新幹線において、九州エリアの特産品を関西圏に輸送する試行を実施する」

JR西日本の長谷川一明社長は1月18日、JR西日本とJR九州が新幹線を使った荷物輸送の共同実証実験を行うと発表した。2021年2月からスタートする。

新幹線を使った荷物輸送はJR東日本が先行している。現在、荷物は車販準備室などの狭いスペースに置いているが、輸送量の増大をにらんで荷物専用車両の開発も視野に入れる。

新幹線による荷物輸送に熱視線

JR西日本は後発となるが、他社と連携する点に新しさがある。今回発表したのは九州と関西、首都圏と北陸だが、中国圏や近畿圏の特産物を新幹線で首都圏に運ぶニーズもありそうだ。

コロナ禍で旅客需要が激減する中、各社は新幹線の荷物輸送に熱い視線を送っている。だが、経営基盤がJR東海やJR東日本よりも脆弱なJR西日本の状況は、より深刻だ。

JR東海は東海道新幹線、JR東日本は首都圏の在来線という「ドル箱路線」を抱える。JR西日本も山陽新幹線や北陸新幹線、関西圏の在来線を運営するが、収益力では東海道新幹線や首都圏の在来線に見劣りする。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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