イタリアでは1月26日に首相を辞任したジュセッペ・コンテ氏による連立工作が失敗し、マッタレッラ大統領は欧州中央銀行(ECB)前総裁のマリオ・ドラギ氏を大統領府に呼び出した。ドラギ氏に組閣を正式に要請する可能性が高い。
ドラギ氏はECB総裁として欧州ソブリン債危機を沈静化させた手腕が高く評価されており、同氏が国政のかじ取りを担う見通しを好感し、ユーロ相場は上昇した。
マッタレッラ大統領は現地時間3日正午(日本時間同午後8時)ごろにドラギ氏と会談する予定。大統領報道官が記者団に明らかにした。コンテ氏は2度にわたる連立協議を通じて第3次内閣の発足を目指したが、各党派の合意取り付けに至らなかった。
ドラギ氏の首班指名は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い経済情勢が悪化する中で、内閣の不在を招き、意思決定に空白を生じさせた政治的駆け引きに終止符を打つと期待され、市場も歓迎すると予想される。
コロナで戦後最悪のリセッションに突入
イタリアはコロナのパンデミック(世界的大流行)下で、戦後最悪のリセッション(景気後退)に陥り、欧州連合(EU)の実質的な「復興基金」7500億ユーロ(約94兆8000億円)の経済再建プログラムに頼らざるを得ない状況にある。マッタレッラ大統領は前倒し総選挙の余裕はないと警告し、各党派に次期首相候補への最大限の支持を呼び掛けていた。