ファナックが驚異の速さで「脱コロナ不況」の訳 ロボット受注は過去最高、20%近い増益見込む

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好調なのは中国だけではない。米州では、EV(電気自動車)を含めた自動車関連を中心にロボットが好調で、2020年10~12月期の受注高は前年同期比47%増の414億円となった。「これまでは設備投資計画の谷間だったが、次の投資のタイミングになっている。EVやEV以外の引き合いもあり、全般的に自動車関係が戻ってきている」(山口社長)。

その結果、2020年10~12月期のロボット受注高は、四半期別では661億円(前年同期比42%増)と急増。部品の調達難に陥るほど市場が活況に沸いていた2017年4~6月期の629億円を上回り、過去最高を更新した。

利益率30%超も停滞期に突入

この当時、2018年3月期には営業利益率31.5%を誇り、「超高収益企業」として知られていたファナックだが、ここ数年は苦境に陥っていた。

自動車や半導体業界の設備投資が一巡したことや米中貿易摩擦の影響により、2018年秋ごろから設備投資需要が減退。ファナックも例外ではなく、2019年3月期から2期連続で減収となった。

2017年に披露された壬生レーザー工場。だが近年は、こういった設備投資による固定費の増加が、自慢の利益率を押し下げてきた…(撮影:尾形文繁)

一方で、ファナックは生産能力の増強を止めず、固定費の負担が増大していた。山梨県忍野村の本社工場に加えて栃木県壬生工場、茨城県筑波工場でも工場の新築や増築をするなど、2015年頃から毎年1000億円規模の設備投資を繰り返し、減価償却費が増えていた。

また、近年注力しているIoTプラットフォーム「フィールドシステム」などの開発に向け、ソフトウェア分野のエンジニアの中途採用を加速。人件費も膨らみ、2020年3月期の利益率は17.3%まで落ち込んだ。

今回の上方修正によって、2021年3月期の営業利益率は19.8%となる見込みで、第4四半期だけでみると25.8%まで持ち直す計算だ。苦境の中でも生産体制を整え、好況が訪れたときに需要を最大限まで刈り取る戦略が実を結んだ格好だ。

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