「三洋とハイアールの融合はこれからだ」 日本・東南アジア担当のトップに聞く
デルでも順風なスタートだったわけではない。教育、中央官庁、ヘルスケアの3分野を統括する公共営業部門の本部長のポストを与えられた。そこは8四半期連続の赤字だった。当時、僕はITの素人。「砂糖水を売っていた人間に、ITの何が分かる」と揶揄されたこともあったが、異業種から来た「よそ者」にしか見えない企業の強みがわかる。デルにとっての強みは、何よりスピードだと考えた。
当時、海上自衛隊の護衛艦からファイル共有ソフトのWinny(ウィーニー)経由で情報が流出した事件があった。そこで防衛省は新たなパソコンの緊急調達を決めた。
公示から入札まで2週間というスピード案件。私は発注仕様の確認、工場での生産量確保など、2週間で社内調整を行い、過去最大規模の受注を獲得できた。以降、同部門は7四半期連続で黒字を達成。いつの間にか「常勝軍団」と言われるようになった。
ソニー・ピクチャーズエンタテインメントでも、よそ者の強みを存分に活かした。映画のDVDなどを扱うホームエンタテイメント部門の日本市場の再建を託された。DVD市場は年率17%で市場が縮小していく斜陽産業だったが、必死に考え、まだ売る余地が残っていると分かった。
たとえば、マイケル・ジャクソンのDVDだ。社内では30万枚売れたらいいだろうと言われたが、彼ほどのスターなら、200万枚は売ろうと目標を立てた。DVD販売は専門店ルートが主流だったが、専門店の数自体が減っている。
では、どこで売ればいいか。マイケル・ジャクソンなら、ダンスをする人向けの需要があると考え、スポーツ店に大きくポスターを貼り、置いてもらった。そして郵便局やコンビニ、総合スーパーなどへも集客効果を訴えて販路を広げ、結果的に230万枚のセールスを記録した。
「小米」を見習う
――今後は「よそ者」の強みを、家電業界でどう発揮するか。
今、ガラパゴスに陥った業界が痛い目に遭っている。家電業界もしかりだ。だから均質的な人間ばかり集まっても仕方ない。これからは多様な人材を集められるかがカギ。そのために海外の現地人、また女性もどんどん活用していきたい。
ユーザーとのコミュニケーションも重要だ。今回のアマダナとの提携も、商品開発にユーザーの視点を取り入れる試みだ。同様の手法で私が注目しているのは、中国のスマホメーカー、小米(シャオミ)だ。小米ではCEOが毎日、ツイッターで消費者とどんな商品が欲しいかをコミュニケーションし、1万台限定といった形でスマートフォンを売り切っている。小米が伸びたのは、まさにこうした"コ・クリエーション"の成果だと思う。
自分も同じようなやり方を考えている。今の弊社の製品は、冷蔵庫、洗濯機がメインだが、特に「家電」というくくりにはこだわっていない。従来の発想とは異なるモノやサービスを、スピード感を持って、どんどん供給していきたい。
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