「三洋とハイアールの融合はこれからだ」

日本・東南アジア担当のトップに聞く

デルでも順風なスタートだったわけではない。教育、中央官庁、ヘルスケアの3分野を統括する公共営業部門の本部長のポストを与えられた。そこは8四半期連続の赤字だった。当時、僕はITの素人。「砂糖水を売っていた人間に、ITの何が分かる」と揶揄されたこともあったが、異業種から来た「よそ者」にしか見えない企業の強みがわかる。デルにとっての強みは、何よりスピードだと考えた。

画像を拡大
いとう・よしあき●1969年タイ生まれ。1998年米サンダーバード国際経営大学院ビジネススクール卒業。日本コカコーラやデル、レノボ米国本社、アディダスジャパン、ソニーピクチャーズエンタテインメントなどを経て、2014年2月から現職(撮影:尾形文繁)

当時、海上自衛隊の護衛艦からファイル共有ソフトのWinny(ウィーニー)経由で情報が流出した事件があった。そこで防衛省は新たなパソコンの緊急調達を決めた。

公示から入札まで2週間というスピード案件。私は発注仕様の確認、工場での生産量確保など、2週間で社内調整を行い、過去最大規模の受注を獲得できた。以降、同部門は7四半期連続で黒字を達成。いつの間にか「常勝軍団」と言われるようになった。

ソニー・ピクチャーズエンタテインメントでも、よそ者の強みを存分に活かした。映画のDVDなどを扱うホームエンタテイメント部門の日本市場の再建を託された。DVD市場は年率17%で市場が縮小していく斜陽産業だったが、必死に考え、まだ売る余地が残っていると分かった。

たとえば、マイケル・ジャクソンのDVDだ。社内では30万枚売れたらいいだろうと言われたが、彼ほどのスターなら、200万枚は売ろうと目標を立てた。DVD販売は専門店ルートが主流だったが、専門店の数自体が減っている。

では、どこで売ればいいか。マイケル・ジャクソンなら、ダンスをする人向けの需要があると考え、スポーツ店に大きくポスターを貼り、置いてもらった。そして郵便局やコンビニ、総合スーパーなどへも集客効果を訴えて販路を広げ、結果的に230万枚のセールスを記録した。

「小米」を見習う

――今後は「よそ者」の強みを、家電業界でどう発揮するか。

今、ガラパゴスに陥った業界が痛い目に遭っている。家電業界もしかりだ。だから均質的な人間ばかり集まっても仕方ない。これからは多様な人材を集められるかがカギ。そのために海外の現地人、また女性もどんどん活用していきたい。

ユーザーとのコミュニケーションも重要だ。今回のアマダナとの提携も、商品開発にユーザーの視点を取り入れる試みだ。同様の手法で私が注目しているのは、中国のスマホメーカー、小米(シャオミ)だ。小米ではCEOが毎日、ツイッターで消費者とどんな商品が欲しいかをコミュニケーションし、1万台限定といった形でスマートフォンを売り切っている。小米が伸びたのは、まさにこうした"コ・クリエーション"の成果だと思う。

自分も同じようなやり方を考えている。今の弊社の製品は、冷蔵庫、洗濯機がメインだが、特に「家電」というくくりにはこだわっていない。従来の発想とは異なるモノやサービスを、スピード感を持って、どんどん供給していきたい。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • 今見るべきネット配信番組
  • コロナ後を生き抜く
  • 晩婚さんいらっしゃい!
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
地銀 最終局面<br>首相が追い込む崖っぷち

遅々として進まなかった地銀再編。しかし菅義偉首相は明確に踏み込みました。全国の地銀はどう動くのか、現状を徹底取材。今後起こりうる地銀再編を大胆予測。さらにビジネスモデルや行員の働き方にも注目し、地銀が生き残る道について探りました。

東洋経済education×ICT