初期投資40万円でも成功したラーメン屋の秘密 設備はカセットコンロと家庭用IHヒーターのみ
厨房設備の通販サイトをのぞくと、業務用の2口ガス台は安いものでも5万円程度するようであり、茹で麺器にいたっては10万円以上が相場のようです。
いくら何でも、道具がこれだけ違えばラーメンの出来映えにも差がつきそうなものですが、同店はオープンから半年を待たずして固定客をつかみ、店長が十分暮らせる売り上げを維持している、れっきとした専門店です。その秘密については、後ほど触れることにしましょう。
店長の松井諒太さんは24歳。大学時代は「ものを売るスキルを身に付けたい」と営業職を志望し、内定先の中古車店でアルバイトもしていましたが「ありえないほどノルマが厳しい」実情に気づき、卒業直前に内定を辞退。急きょ人材派遣会社に入り直しました。
派遣先の職場は、地元のスマホショップでした。とくにガジェット好きというわけでもなく、ほとんど興味を持てない仕事内容と、神経をすり減らす接客にひたすら耐える日々だったといいます。
ラーメン店開業のきっかけ
そんな松井さんがオフタイムの趣味としていたのがラーメンの食べ歩きでした。近畿圏を中心にあらゆるジャンルのラーメン店を訪れ、年間なんと600杯を食していたそうですから、筋金入りです。
毎回ラーメンの写真にコメントをつけてInstagramにアップしていたところ、開始1年半で200人近いフォロワーがつきましたが、人気ジャンルだけにプレーヤーも多いラーメン界、これだけでは収益化の見通しは立たなかったといいます。
「インスタグラマーとしてスポンサーの目にとまるほどのフォロワー数ではないし、広告収入で稼ぐラーメンYouTuberでは『SUSURU』さんが圧倒的に有名で、とても勝てない。ラーメンライターとしてブログでの実績を認められて店舗のプロデュースに回る人もいますが、僕の場合は文章力に自信がありませんでした」(松井さん)
アウトプットの方法を模索する一方、松井さんは「一度食べたラーメンの味は、すべて記憶にとどめている」と、持ち前の味覚には絶対の自信を持っていました。
あふれるラーメン愛を、行きつけのバーで顔なじみにぶつけたところ「店を開くのに大した資金はいらない。応援するから、会社を辞めてラーメン店を始めては」と思わぬ誘いを受けたことが、今回の開業のきっかけとなりました。
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