初期投資40万円でも成功したラーメン屋の秘密

設備はカセットコンロと家庭用IHヒーターのみ

採算面では「月家賃10万円以下の小規模飲食店は、赤字経営するほうが難しい」というのがしょぼい起業界の定説であり、川西麺業はこの条件を余裕でクリアしています。

それでもコストのメリハリは重要であり、本質的でない部分は削るに越したことはありません。店舗の内外装を100円ショップやホームセンターの素材で整える一方、原価率を一般的な飲食店と同じ3割に設定。

この枠内で最大限おいしいものを目指し、「独自性アップ」と「原価低減」を両立できる自家製麺にもチャレンジしました(ただ残念ながら製麺機の故障に見舞われたほか、麺の品質を安定させるのが難しく、仕入れ麺を使いながら研究を続けているそうです)。

そして肝心な「カセットコンロにIHヒーターという熱源で、本当にうまいラーメンがつくれるのか」というところですが、松井さんは「タイミングさえ間違わなければ、本格的な業務用設備と仕上がりは同じ」と断言します。

今の生活のほうが「100倍幸せ」

カウンター5席のみの川西麺業は、麺を最大5玉連続で茹でることとなりますが、カセットコンロで沸騰を保てる湯量では、ちょうど5玉が水替えのタイミングになるといいます。

つまり、ほかの作業や接客などをこなしながらもIHヒーターにかけた替えの湯を切らさないようにし、つねにきれいな熱湯で茹でられる状態にしておけば、業務用設備でなくても専門店レベルのラーメンがきちんと出せるというのです。

これは、いくつもの状況に目を配り、臨機応変に対応するマルチタスクの典型であり、向き不向きは分かれそうです。

「足りない設備を頭でカバーしているようなもの。スマホショップ時代よりも大変です」と語る松井さんは、それでも適性に恵まれたようであり「いやいや仕事をやっていたときの精神的なダメージがない分、こちらのほうが100倍幸せ」と目を輝かせます。

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