「eスポーツ」がコロナ影響を受ける意外なワケ オンライン大会なのに近隣国しか参加できない
しかし、2020年はオンライン開催になり、コロナ禍で現地に飛ぶこともできなくなったので、日本にいながら参加可能な大会しか参加できなくなりました。また、2020年はポイント制を廃止し、各大会の優勝者がカプコンカップへの出場権を得る形に変わっています。
日本人選手が参加できる大会は、“アジア・東”大会のみ。アジア・東は2大会開催が予定されているので、日本人選手がカプコンカップへ出場できる可能性は最大で2人までです。
実際は、アジア・東には韓国や台湾、香港からも出場ができるので、昨年と比べるとかなり狭き門となります。結果としては、アジア・東1大会では、ウメハラ選手が、アジア・東2大会ではガチくん選手が優勝し、日本人最大枠分の選手が出場権を得ました。ちなみに、カプコンカップ自体は中止となりましたが、代替イベントとして、出場権を持つ選手によるエキシビションマッチの配信を検討していると運営が発表しています。
「強い選手」だけが出場すべきとは言えない
カプコンカップへの出場を果たせなかった日本人選手の中には、各地域の大会を優勝した選手よりも実力を持った選手が何人もいます。枠の制限によって、それらの選手はカプコンカップでの勇姿が見られなくなってしまいました。
強く、実力のある選手がカプコンカップへ出場することを望むのはファン心理としては当然のことですが、『ストリートファイターV CE』の普及、eスポーツの人気拡大を考えると、今回の措置があながち間違っているとも言えません。
サッカーのワールドカップは地域枠があり、それぞれの枠内で出場国を決定します。サッカー王国の多い、南米や欧州はほかの地域よりも出場枠が多いものの、枠に漏れた国の中には、ほかの地域の出場国よりも強豪国は多くあるわけです。世界全体で予選を行ってしまったら、アジア枠は1つもなくなってしまうかもしれません。それでもアジア枠があるのは、アジアから出場国が必ず出ることで、アジアでのサッカーへの関心を高める効果が十分にあるからです。
カプコンプロツアーも実力があるとはいえ、世界各国を飛び回りポイントを稼いでカプコンカップを出場することで、地元の選手がカプコンカップへ出場できなくなるのであれば、その地域での『ストリートファイターV CE』の関心をつかみにくくなってしまうかもしれません。また、世界各国を飛び回っている選手やチームにとっても、月に1~2回海外に渡航しなくてはならない状況は練習時間の確保の面でも金銭的な面でも厳しく、それが緩和されたことは喜ばしい側面です。
そういった意味では、今回のカプコンプロツアーはグローバルに展開するためにはいい施策だとも言えます。
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