「eスポーツ」がコロナ影響を受ける意外なワケ オンライン大会なのに近隣国しか参加できない
2021年1月18日、カプコンカップの中止が発表されました。カプコンカップは同社のゲームタイトル『ストリートファイターV CE』を使ったゲーム大会で、年間を通じて開催されるカプコンプロツアーでの成績上位者のみ参加できる1年を締めくくる大会です。本来であれば2020年末に開催される予定が、コロナ禍により 2021年2月に延期され、開催国もフランスからアメリカに、そして最終的にドミニカ共和国での開催となりましたがそれも中止となりました。
eスポーツは、ライブエンターテインメントの中でも、無観客試合にするだけでなく、選手すらリモートでの参加ができるため、スポーツやライブなどに比べ、オンラインとオフラインでの開催区分がそれほど大きくありませんでした。それでも選手が一堂に会して行う大会は、今回のように中止を余儀なくされています。
インターネットは通信する距離で遅延が発生する
オンラインで開催できるeスポーツでも、カプコンカップのような世界大会になると、選手は開催地に集まらなければなりません。インターネットは世界中のどこからもアクセスできますが、通信する距離によって遅延が発生してしまいます。オンライン会議などの会話であれば、多少の遅延は問題ありませんが、ゲームとなるとその遅延は致命傷と言え、遅延の具合によってはまともにゲームができないと言わざるをえません。
なので、1フレーム(60分の1秒)単位での操作や確認が必要となる対戦格闘ゲームでは、オフライン(対面)での対戦が最適で、オンラインでも遅延が発生しにくい距離、例えば日本であれば日本国内、遠くても近隣のアジア諸国との対戦しかままならないわけです。
その結果、カプコンカップへの前哨戦となるカプコンプロツアーも2020年は大きく様変わりしました。大会数は半減し、すべてがオンラインでの開催に変更しています。そして、各大会は、先ほどの遅延の問題から開催地の近隣の国や地域からしか参加できなくなってしまいました。
カプコンプロツアーの各大会は、オープン大会のため、誰でも参加が可能で、開催国まで渡航すればいくつもの大会に参加することができます。各大会では成績に応じたポイントが獲得でき、そのポイント数が高い順にカプコンカップの出場権を得る仕組みです。2~3大会優勝できればカプコンカップへの参加ができますが、そこまでの成績が残せなくても大会数を重ねることでポイントを稼ぐことができるわけです。
『ストリートファイターV CE』をプレイする日本人選手は人気、実力ともに世界で活躍できる選手が多く、eスポーツチームやスポンサーの支援によって、世界各国へ渡航することができます。実力に加えて参加大会の多さからほかの国の選手とのポイント差を付け、多くの選手がカプコンカップへの出場を果たしています。カプコンカップ2020では、出場枠の約半分である15人が日本人選手でした。
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