フランスも苦悩「コロナでハメ外す若者」の怖さ 極度のストレス?違法ダンスパーティーが続発

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実は、昨年の最初のロックダウン(都市封鎖)が行われた4月にも違法パーティーが行われていた。秋以降もパリ東郊外のヴァンセンヌ公園でダンスパーティーが行われ、主催者らが逮捕されている。昨年夏もバカンス時期には、バカンス先の南フランスのビーチなどで羽目を外した若者のパーティーが行われていた。

フランスは昨年秋以降の想定を超えた感染拡大で、10月末に二度目のロックダウンを行ったが、原因は夏に多くの国民が羽目を外したことだった。特に若者の行動はマスク未着用などエスカレートしていた。

12月に入り、厳しい規制を緩和する条件だった、1日の新規感染者が5000人以下という目標には到底届かず、1万5000~2万人だったためにロックダウンを解除した一方、夜間外出禁止措置が導入された。

すると年始以降、感染重症者数が上昇。原因はクリスマス休暇の12月24日から25日にかけて夜間外出が可能だったため、若者が街に繰り出したことが主因とフランス保健省が分析した。

つまり、重症化しにくい若者のウイルスに対する危機感の薄いことが、感染拡大を後押ししているという認識が政府内に広がっている。

夜間外出禁止令の違反者は6000人を超える

米ジョンズ・ホプキンス大学の最新データによると、1月20日の新規感染者数は2万6784人、1月20日時点でのフランスの人口100万人あたりの直近7日間の新規感染者数は、2624人で、世界ではアメリカ、イギリス、ドイツ、イタリアに次いで多い。

死者は20日の1日に全土で374人と多く、医療体制は危機的状況だ。16日から全土に18時からの夜間外出禁止令が拡大されたが、違反者はすでに若者を中心に6000人を超えている。

フランス公衆衛生局によれば、2021年の1週目は前週に比べて、感染者が全体で30%増加し、特に14歳以下の感染者が46%増えていることが判明した。感染力の高いイギリスの変異種が原因なのかはわかっていない。

感染対策の切り札はコロナ・ワクチンだが、パスツール研究所が開発中のサノフィのワクチンは、1月19日の声明で接種できるようになるまで少なくとも2カ月かかるとされている。

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