LCCピーチ、コロナ禍であえて国内線大増強の訳 「ステイジャパン」見込み、強気の逆張り路線

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LCCの客層構成も、コロナ禍におけるピーチの集客にプラスに働きそうだ。コロナ禍における航空需要は、リモートツールの普及や一部企業の業績悪化などで、ANAやJALの得意とするビジネス需要の戻りが遅いと見込まれている。一方、LCCは低運賃を武器に、従来から観光客や帰省客に強い。

ピーチの森CEOは2020年7月の東洋経済のインタビューで、「しばらくは海外旅行に行けないため、日本人は『ステイホーム』ならぬ『ステイジャパン』の状況となる。(Go To トラベルなどによって)国内旅行が促進される中で、逆に国内線を増やさないほうが疑問だ。やるなら今しかない」と語っていた。

コロナ第3波後に需要は回復するか

気がかりなのは、コロナ感染第3波による再びの需要低迷だ。年末年始におけるピーチの国内線旅客数は前年比38.6%減の8万6739人にとどまった。利用率は46.8%と低迷し、森CEOの言う「利益を出すために必要な70%以上の搭乗率」にはほど遠い。現状は利益どころか、運航変動費を賄えるかどうかという状況だ。

成田発着路線の拡大について会見するピーチの森健明CEO(撮影:今祥雄)

第3波の収束後に航空需要が回復するペースも不透明だ。そのため、ピーチは得意としてきたレジャー客だけでなく、ビジネス客の取り込みも狙う。森CEOは2020年12月の中部国際空港への就航イベントの際、観光と業務を両立させる「ワーケーション」などの普及を見越し、飛行機を定額乗り放題で利用できる制度を検討していることを明かした。

コロナ前までのピーチは、10%超の営業利益率をコンスタントに叩きだすなど、業界の中でも高収益企業として知られていた。森CEOは第3波によるキャンセル動向に懸念を示しつつ、「2020年度は非常に大きな赤字を抱えてしまうので、2021年度は何が何でも黒字に立つことが最低限必要だ」と黒字転換への意欲を見せる。

早期の黒字化に向けて、柔軟に減便を駆使して変動費を抑制すると同時に、復便できるタイミングで集中的にプロモーションをかけるなど、臨機応変な経営判断が問われる。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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