【産業天気図・石油】精製販売マージンの最悪期は脱すもかつての利益水準には遠い、1年終始「曇り」止まり

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 景気の底打ちや各社の減産効果により、今年に入ってマージンはやや改善の傾向にあり、4四半期別に見た業界の収益環境は最悪期は脱した感がある。

しかし、需要自体は先細りが必至で、10年度も精製販売マージンの急激な回復は期待しづらい。マージンの絶対水準は依然として低く、大手元売り各社の精製販売事業の実質損益は収支均衡圏に回復する程度だろう。

このように国内の精製販売では依然として儲けが期待できないため、安定的な収益を稼ぐ海外の石油・ガス権益をどれだけ保有しているかで業績も左右される。

業界の注目は、構造問題として横たわる過剰設備の解消が進むかどうか。業界は過剰な精製処理設備を有しており、ただでさえ需要縮小が続くなかで、こうした過剰設備構造が適正マージン確保の大きな障害になっている。

業界では「このままでは共倒れになりかねない」との危機感が芽生えており、今春誕生したJXホールデイングス(新日本石油と新日鉱ホールディングスが4月に経営統合)が一部設備の停止・廃棄を発表したほか、昭和シェルは来年秋までに川崎の扇町製油所を閉鎖することを決めた。

こうした設備縮小は業界の精製販売マージンの改善要因になるだけに、他の大手が追随するかどうか注目される。
(渡辺 清治)

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