コロナ対策が成功した国として、中国以外にはニュージーランド、台湾、ベトナムなどが存在する。このような国と中国は違う。それは、このような国は水際作戦が成功し、国内へのコロナの侵入を食い止めているのに対し、中国はいったん国内で感染が蔓延したのを抑制し、現在にいたるまで、その状態を保っているからだ。
日本では武漢に対して、中国政府が命じた厳しい都市封鎖にばかり関心が集まっているが、注目すべきは再燃を許さなかったことだ。PCR検査を徹底して、感染が小規模なうちに封じ込んだのである。これぞ、合理的なコロナ対策といっていい。世界は、PCR検査数を増やすのに懸命だ。
前述したように、欧米先進国は感染者数に比して、検査数が足りない。多くの無症状感染者を見落とし、彼らが市中で感染を拡大している。中国とは政治体制が異なる欧米先進国は、中国とは異なる方法で検査数を増やそうとしている。注目すべきはアメリカだ。産官学が協同で検査体制を急ピッチで整備している。
アメリカでは自宅でできる検査キットが広がる
例えば、カリフォルニア大学サンディエゴ校は1月に入り、11台のPCR検査自動販売機をセットした。今後、1~2週間でさらに9台を追加する。同大学の学生はIDカードをスワイプするだけで、無料で検査できる。これまでの2週間に1回から、毎週1回検査を受けるように推奨されるという。
アメリカでは各地で無料あるいは定額で検査が受けられるが、多忙な現役世代はわざわざ検査を受けに行けない。このような人たちへの商品開発も進んでいる。
11月17日に、自宅で利用できる検査キット(Lucira COVID-19 All-In-One Test Kit)に緊急使用許可が与えられた。30分程度で結果が出る。ただ、このキットを入手するには医師の処方箋が必要だ。12月15日には処方箋不要の抗原検査(Ellume COVID-19 Home Test)に対して緊急使用許可が与えられた。そして、1月6日には、アマゾンがデクステリティ社の検査キットのオンライン販売を開始した。1パック約1万1300円だ。
企業も検査体制強化に協力している。ネットフリックスやゴールドマンサックスなどの一部の企業は、無症状の感染者を判別するために、企業が費用を負担し、検査を提供しはじめている。グーグルは9万人の社員に対して、毎週検査を実施する。
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