クルマ電動化が急加速、素材メーカーに「商機」 生産能力や開発力を強化、課題は値段の高さ

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イギリスやカリフォルニア州は2035年までにHVの新車販売までも禁止し、EVなどガソリンを使わない車しか認めない。一般的にEVの販売価格はHVよりもさらに高額で、補助金を除くと1台当たり300万円程度が標準だ。

このほかにも、EVはガソリン車よりも航続距離が短く、充電スタンドの数が不十分という大きな問題も抱えている。

電動化は素材業界に追い風なのか

経産省の調査では、2019年の国内の新車販売430万台のうち、ガソリン車とディーゼル車60.8%で、電動車は35.1%にとどまる。このうちHVの割合は34.2%で、より環境負荷の低いEVの割合は1%に満たない。

みずほ証券シニアアナリスト(化学担当)の山田幹也氏は、「電動化に伴う価格上昇や利便性低下が新車販売台数の減少につながるおそれがある。素材業界にとって、必ずしもポジティブとは言えない」と指摘する。

日本政府は冒頭のカーボンニュートラル実行計画の中で利用者への購入補助や、電池部材を手がける事業者などへの支援方針も盛り込んだ。電動車の販売価格や維持にかかる費用をガソリン車並みに引き下げたい考えだが、ハードルは高い。

今後、どれだけ効果のある電動車の普及策が打ち出されるのかが、素材メーカーの自動車向け事業に大きな影響を与えることになる。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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