脱炭素へ、岩谷産業が「水素」に投資続けるワケ FCV普及を見据え、各地で充填ステーション整備

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間島社長は「水素ステーションの採算が見合うタイミングは早まるのではないか」と語った(撮影:梅谷秀司)
国内最大手のLPガス事業者である岩谷産業は、ヘリウムなどの産業ガスや電池関連部材を取り扱うなど事業領域が幅広い。その中でとくに注目されているのが、次の事業柱に育成中の水素関連事業だ。
菅義偉首相が2020年10月の所信表明演説で2050年にカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする)を実現すると打ち出したことで、クリーンなエネルギーである水素が脚光を浴びている。2020年4月に社長に就任した岩谷産業の間島寛社長に、同社の将来像について話を聞いた。

「水素がすぐに利益貢献するのは難しい」

――岩谷産業は燃料電池自動車(FCV)向けの水素充填ステーションの設置など水素事業に取り組んできました。日本の脱炭素社会を目指す動きは追い風では?

流れはあるが、水素についてはすぐに利益貢献するのは難しいと考えている。水素ステーションは開発中のものを含めて国内に53カ所あり、現時点では先行投資の負担が大きい。水素ステーションで充填する水素の価格は、広く使ってもらうために水素製造コストを度外視した販売価格にしており、1キログラム当たり1100円に固定している。

最も利用台数が多いイワタニ水素ステーション芝公園(東京・港区)では、1日に30台弱の利用がある。充填する水素ガス量が多いのはイワタニ水素ステーション東京有明(東京・江東区)だ。東京都の都営バスが燃料電池バスを導入しており、有明ステーションを利用している。こうした利用台数が増えてきたところについては、(採算的に)運営ができるところまで見えてきたステーションもある。

ただ、新潟など地方の水素ステーションは街を走っているFCVの台数がまだまだ少なく、利用も少ない。

アメリカではカリフォルニア州で4カ所の水素ステーションを運営している。カリフォルニア州ではトヨタ自動車のミライだけでなく他メーカーのFCVも走っており、同州だけで1万台ぐらい走っているのではないか。当社のアメリカの水素ステーションは、コロナ影響などを除けば採算に乗るところまで来ている。

この記事の続きは東洋経済プラスの短期連載「新社長12人 2021年の展望」で無料でお読みいただけます。連載では以下のトップインタビューも配信しています。

①インタビュー/日本ペイントホールディングス・田中正明社長
②インタビュー/クボタ・北尾裕一社長
③インタビュー/カゴメ・山口聡社長
④インタビュー/三井化学・橋本修社長
⑤インタビュー/岩谷産業・間島寛社長
大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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