仲良し夫婦が「相手にイラついた時」にすること 夫婦の衝突を救う「優しさのあめ玉」という存在

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何度も「ええか! やさしさのあめ玉やで! 忘れたらアカンで!」としつこく念押しされ、「肝に銘じておきまーす!」と勢いよく返事をしたものの、やっぱりなんだかよくわからない。

架空の飴玉? だんだん必要になってくる? なめたらイライラがおさまる?――

気づけば、結婚してまる3年。今なら、彼女の助言の意味がよくわかる。「夫婦は一番近い他人」とはよく言ったもので、育った環境の違う、すでに自我が形成された大人同士がともに生活を営めば、多少なりともイラッとする瞬間はある。

価値観の相違から、喧嘩に発展することだって、当たり前にあるだろう。「結婚するなら価値観が同じ人がいいよね」なんて幻想を口にする人もたまに見かけるが、そんな相手はこの広い地球のどこを探しても存在するわけがないと思っている。せいぜい、似たような価値観を持った人、多様な価値観を持つ中でも共通する部分が多い人、程度だろう。

もちろん、わたしと夫も価値観が同じわけではない。それでも、ありがたいことに運がよく、「万が一、価値観に大きなずれが生じた場合、きちんと話し合いができて、都度擦り合わせをしようとする価値観」を共通して持っていたため、なんやかんや上手くやれている。

どれもこれも、大したことじゃない

わたしは夫を世界で一番愛しているし、「こういうところが嫌だ、許せない」などと、人格の根底を揺るがすような壁にぶち当たったことはこれまでに一度もない。でも、ごくまれに、こう、どうしようもなくイラッとすることがほんの少しだけある。

汚れ物が溜まった洗濯カゴの中にひっそり隠れている、丸まったまま脱ぎ捨てられた靴下。翌朝に出される、前の日に職場に持って行った空の水筒。洗い物カゴに放置された食器を片づけてくれるのはとても助かるが、いつもと違う場所にしまわれていて、つかおうとするたびに探す羽目になる菜箸。

どれもこれも、大したことじゃない、ほんとうに些細なこと。
 どうしたって生活の中に生まれてしまう、小さな習慣の違い。

でも、この小さなイライラが出てくるたびに「ちょっとこの部分の価値観が合わないな~。よし、ちょっくら膝を突き合わせて価値観を擦り合わせるために話し合いでもしますか!」なんてことは、いちいちやってられない。わたしは、忙しいのだ。

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