JR「超電導リニア」の技術は本当に完成したのか 気鋭の技術ライターの疑問と、JR東海の見解

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L0系の初期型には先頭車にガスタービン発電装置が搭載されており、そこから空調装置や照明装置の電力を賄っていました。その後登場したL0系改良型試験車は電磁誘導を利用して電力を取り込む誘導集電方式を採用し、ガスタービン発電装置は搭載されていません。

L0系の初期型先頭車両=2014年(撮影:尾形文繁)

でも、今年9月に撮影した写真では、2つある先頭車のうち1両はガスタービン発電装置が搭載された初期型のL0系で、写真に陽炎がたっていることからガスタービン発電装置が作動している証拠といえます。もし誘導集電方式だけで車内電源を確保できるのであれば、改良型先頭車を2両製造して同じ編成に組み込むはずです。それをやっていないのは、誘導集電の技術が十分に磨かれていないことを意味します。

――JR東海の技術に対して、国の技術評価委員会の突っ込みが足りない?

そう思います。それと、もっと情報を開示してほしいです。論文も出ていないので、どうなっているかがさっぱりわかりません。

建設的な議論が盛り上がれば

――中央新幹線は在来線の開業を匂わせていると著書に書かれています。山梨実験線には超電導リニアには不要な架線柱のようなものも立っているとのことですが。

架線柱のようなものがおおむね50m間隔で立っています。東海道新幹線とほぼ同じ間隔です。電柱がなぜここに立っているのか疑問に感じました。

――全般的に超電導リニアに対して辛口に書かれていると感じました。せっかく、さまざまな事実を丁寧に並べているので、ご自身の意見は抑えて、是非の判断は読者に委ねたほうがよかったのでは?

そこは難しかったのです。本書の目的は批判ではなく、建設的な議論を進めることです。国もJR東海も批判するつもりはまったくありません。私の意見を述べないことも考えたのですが、編集者と相談して、私の意見を述べることにしました。私の意見が正しいとは限らないので、いろいろな意見が出てきてほしいと思っています。そのうえで、もし議論が盛り上がったらうれしいです。

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