JR「超電導リニア」の技術は本当に完成したのか 気鋭の技術ライターの疑問と、JR東海の見解
リニア中央新幹線は2014年にJR東海の工事実施計画が国から認可され、沿線各地で工事が行われている。走行する車両の研究開発は1960年代からスタートし、これまで数種類の試験車両が開発され、走行試験を繰り返してきた。2013年には営業仕様の「L0(エルゼロ)系」を活用した走行試験が行われ、リニアに関する国の実用技術評価委員会は、2017年に「営業に必要な技術開発は完了」と結論付けた。
現在は、「さらなる快適性の向上や保守の効率化等」を目指したL0系の改良型試験車が走行試験を重ねている。静岡工区におけるトンネル工事が始まらず、目標としていた2027年の開業は事実上不可能となったが、走行に関する技術開発は着々と進んでいるように見える。
しかし、「技術的に本当に実現可能なのか、わからないことがたくさんある」と交通技術ライターの川辺謙一氏は超電導リニアの技術開発に疑問を呈する。川辺氏は大手化学メーカーの技術者を経て独立。難しい技術を一般向けにわかりやすく解説することをモットーに、鉄道、交通分野での著書も多い。
超電導リニアの何が問題なのか、このたび『超電導リニアの不都合な真実』(草思社)を著した川辺氏に聞いた。
超電導磁石「クエンチ」の問題
――著書では、走行に関わるリスクとして、「クエンチ」という問題を指摘しています。
クエンチとは、超電導磁石から発生する磁力が急激に低下する現象です。超電導リニアは超電導磁石から発生する磁力によって浮上や推進を行っているのですが、クエンチが起きると正常な走行ができなくなる可能性があります。
クエンチの原因はわかっていない部分がたくさんあります。技術者向けの専門書『超伝導・低温工学ハンドブック』には「クエンチ発生の可能性を完全に回避することは不可能である」と書いてあります。このような不確定な要素を持ったものを鉄道車輪の代わりに使うというのは飛躍的だと感じます。
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