スズキ「ハスラー」、売れ筋SUVの発売1年通信簿 タフトと真っ向勝負、2代目も販売好調の理由
「クロスビー」は、2017年に発売された登録車のSUVで、ハスラーに似た外観を持つ。直近の実績では、11月に1452台を販売し、一般社団法人日本自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位で35位に位置する。これはダイハツの「ロッキー」を上回るが、ロッキーと同じトヨタ車の「ライズ」は、1万627台で2位という好調さだ。
ハスラーは、後席も足を下ろして体を支えられる着座姿勢を確保でき、座席自体もリクライニング機構を備えて好みの姿勢に合わせることができる。また前後への移動機構を使ってもっとも後ろにさげると、スーパーハイトワゴンに乗っているかのように広々とした空間が生まれ、実に快適であった。
なぜテレスコピックを採用しなかったのか?
唯一の不満といえば、ハンドル位置の調整用としてテレスコピックが備わらない点だ。ハンドルの前後位置を調節するテレスコピックは、正しい運転姿勢と、ペダルとの適切な距離を得るための重要な機能だ。それにもかかわらず、軽自動車や登録車のコンパクトカーでは装備されないのがほとんどで、唯一、ホンダ「N-WGN」が採用している。
ハンドルとペダルの関係を、運転者の体格に合わせて調節できることは、近年、高齢者で多く見られるペダル踏み間違い事故を予防する重要な機能である。それを原価低減という理由に採用を見送る自動車メーカーの姿勢は甚だ遺憾だ。その一点のみで、魅力的な新車がすべて台無しになるのである。なぜなら、単に事故の不安が残るだけでなく、運転中の姿勢が悪いことで疲れを促し、クルマで出掛けることを鬱陶しく思わせてしまうからだ。ことに遠出の喜びをもたらすSUVは、存在を危うくしかねない。
フルモデルチェンジでなくとも、テレスコピックの採用は可能だ。販売価格が若干上がったとしても、正しい運転姿勢で快適に遠出ができるなら、ハスラーの魅力をさらに拡大することになるだろう。いずれにしても、初代での成功におごることなく、2代目へ向け大きく進化させた現行のハスラーは、初代からの買い替えも含め、買う意味のあるクルマである。
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