アラサー夫婦「結婚はつくづく幸せ」と感じる訳 "なんかいい"の繰り返しほど幸せなことはない

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旅行に来てから始めて感じる心地よい疲労感と、帰ったらまた忙しない日常が始まるという一抹の寂しさからか、しだいに口数は減っていき、わたしたちは小さな店内に響き渡る大きな雨音を黙って聞いていた。

最後に残念だったな、スペインなんてなかなか来られないのに。でも、なんかこういうのもいいな。そんなことを思っていると、夫の口から「こういうのもさ、なんかいいね」と聞こえた。そうなんだよ、なんかいいんだよ。

眠れない日も、暑い夜も

なかなか寝つけずにいる深夜。
「眠れないね」
「そうだね、眠れない」
「湯船に浸かって温まったら眠れるかな」
「いいねぇ、お風呂に入りたい」
「でも、そうなると浴槽を掃除しないといけない……」
「それは面倒くさいなぁ……」
「わかる……」
と会話した直後に、2人とも眠りに落ちてしまったこと。

暑くて寝苦しい日。
「暑い」
「暑くて死んでしまう」
「アイスノンつかいなよ」
「ありがとう、でも君はどうするの」
「わたしはいいよ。あなたは明日仕事なんだし、寝不足だとつらいでしょ」
「じゃあ半分こしよう」
と、小さいアイスノンに頭を無理矢理に2つ乗せて寝たせいで、結局お互いに寝不足になったこと。

休日の午前中。
いつもより遅く起き、顔も洗わずそのままベッドの中でそれぞれゲームをしたり、漫画を読んだり、思い思いにゴロゴロして、
「もう11時じゃん」
「お腹空いた」
「なに食べる?」
「クロワッサン……」
「ないよ」
「じゃあ買いに行こう」
「しゃーない、行くか」
とのそのそ起き上がり、テキトーな服に着替えて寝ぐせをそのままに、手を繋いでパン屋さんに行ったこと。

雪が降りしきる真冬の夜。寒空の中、突然思い立ってびっくりドンキーに行き、ポテサラパケットディッシュとチョコレートパフェを食べ、お腹いっぱいの状態で2人して毛布にくるまりストーブの前で転がったこと。

仕事帰りに待ち合わせをして、百貨店で見切り品になった総菜を買い込み、大きな公園で食べながらなにを話すでもなく、日が沈むのを一緒に眺めたこと。そういう、大したことない出来事の中で、たしかに存在する豊かさを、わたしはなんかいいなと思う。

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