ネットで「過激な発言」ばかり目に入る根本理由 中庸な人が発言をやめてしまう特殊な言論空間
イエール大学のアントン・ゴルヴィッツァー氏の研究によると、年齢や政治的傾向に関係なく、SNSを利用する時間が長いと、社会における政治的意見を極端に感じるという結果が出ている。
つまり、ネットを利用している人ほど、社会は極端な意見であふれ、分断が進んでいると感じるということだ。どうやらネットには極端な意見が多く、怖いところというのは世界共通の認識らしい。
しかし考えてみると、これはちょっとおかしい。なぜなら、現代社会ではネットを利用していない人はほとんどいない。「ネットユーザ≒社会にいる人」のはずで、ネットだけに怖い人が多いというのは実に奇妙だ。
奇妙な現象が起こる背景
なぜネットでは、このような奇妙な現象が起こるのだろうか。そのメカニズムを、最新の統計学や科学は解き明かしつつある。そしてその背景には、次の4つの「ネットが持ってしまっている根源的な特徴」が存在しているのだ。
- ①「極端な人」はとにかく発信する
- ②ネット自身が「極端な人」を生み出す
- ③非対面だと攻撃してしまう
- ④攻撃的で極端な意見ほど拡散される
最も大きい要因が、ネットの言論空間とは、極端で声の大きい人ほど、誰にも止められることなく、大量に発信できる場ということである。「極端な人」は、当該問題について強い関心を抱いていたり、想いを持っていたりすることが多い。
例えば、極右の人は政治というテーマについて確固たる考えを持っており、自分の政治信条について強い想いを持っている。往々にして、政治に全然詳しくなくて極端になったというよりは、かなり調べており、そのうえで極端になっていることが多い。これはもちろん、反対の極左にもいえることだ。
一方、中庸な意見を持っている人は、それほど強い想いを持っていない。自分の考えを多くの人に伝えなきゃという使命感にかられるようなことはないし、そもそも当該問題に関心の薄い人も多いだろう。
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