ロイヤルホストが「冷凍食品」に力を入れる事情 コロナ禍での「食の変化」にうまくマッチした
ただ、家庭用フローズンミールという分野ならではの新たな挑戦もあった。店舗のキッチンで手を加えることを前提とした業務用のソースやカレーと違い、ロイヤルデリでは温めればすぐにシェフの味として完成するものでなくてはならない。
作ったものをただ冷凍しただけでは、そのまま温めても、本来の料理がもつ色や香り、舌触りなどを再現することはできないのだ。そこでレシピ開発では、出来上がりの状態から逆算して調味料や煮込み過程などを調整しているという。
それら、ロイヤルホストの半世紀に及ぶ歴史で培われたフローズンミールを実際に試食してみた。意外なことに、手作りのような、自然かつ本格的な味わいだ。「リガトーニ~ローマ風カルボナーラ~」は希少な豚ほほ肉の塩漬けやペコリーノチーズを使用。
また、ルーローハンやチキンカチャトーラなども、スパイスやハーブの味がしっかりと出た大人の味。ワインなどのお酒に合わせて楽しみたいと思わせる。実際、パッケージに相性のよい飲み物が書かれているものも。冷凍食品というとどちらかと言えばファストフードに近い、お手軽なイメージがあるが、それとはまったく別ものである。
冷凍食品ならではのメリット
店舗で提供するとしたら全店舗分の在庫を考えなければならないが、ロイヤルデリは小ロットなのでさほど気にせず希少な材料を採用できる。今後も、定番メニューを増やすというよりは、限定商品や季節商品などを投入して、さまざまな味わいを提供していきたいそうだ。
クリスマスシーズンに向けても、ウインターシーズン限定商品として「冬に楽しむホリデーセット」(2人前5500円)などを販売している。牛肉の赤ワイン煮やカポナータ、ロイヤルホスト定番のオニオングラタンスープなど、6品から構成されるコースだ。
「今年は外でディナーというのでなく、家でクリスマスを過ごす家庭が多いと思います。そうした特別な時間にふさわしいメニューを用意しました」(庵原氏)
ロイヤルデリの展開は、ロイヤルホストだけでなく、グループが展開する別業態や高速道路サービスエリアでも販売している。また2020年11月末より福岡空港内のグループ運営レストランでもロイヤルデリの取り扱いがスタートしている。
できたてのおいしさをそのままに再現でき、スーパーの惣菜などと比べても価値を向上してきている冷凍食品。「冷凍食品だから手抜き」というイメージはもう古くなりつつある。冷凍食品の可能性が広がるなか、この分野で半世紀リードしているロイヤルホールディングスの新たな一手が注目される。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら