利用者10倍達成、大阪モノレールの未来予想図 さらなる延伸で沿線の利便性向上に期待も

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翌1998年には万博記念公園駅から分岐する彩都線が開業。「跨座式」と呼ばれる、コンクリート製の桁に車両が跨るタイプのモノレールで、支線があるのは大阪モノレールが日本唯一だ。同時に、大阪モノレールの営業距離は21.2kmとなり、世界最長のモノレールとしてギネスブックに認定された。2007年には彩都線が延伸されたことでさらに伸びたものの、2011年に中国の重慶モノレールがそれを上回ったため、世界一の座を明け渡している。

低調だった利用者数も、路線の延伸とともに少しずつ増加した。1990年度に469万人だった年間利用者数(6月1日開業のため初年度は10カ月分)は30年間で約10倍にまで増えた。最初に開業した千里中央駅では1日当たり約1.1万人から約4.2万人、同じく南茨木駅では約9000人から約3.1万人と、順調な伸びを見せている。

また、沿線にある万博記念競技場やパナソニックスタジアム吹田は、プロサッカーチーム「ガンバ大阪」が本拠地としており、試合開催日には観戦客をさばくために臨時列車を運転。2015年には大型商業施設「エキスポシティ」も開業したことで、一部の土休日昼間にも増発が行われるようになった。沿線では住宅開発や企業・学校の移転も進み、今やモノレールは地域になくてはならない存在である。

新型車両導入、延伸計画も

そんな大阪モノレールが今、さらに変わろうとしている。1つは、新型車両3000系の導入だ。2018年にデビューした同系は、17年ぶりの新形式ということもあって社員によるワーキングチームが結成され、外観デザインから座席の配置にいたるまで、さまざまな検討がなされた。

2018年に登場した3000系。大阪モノレールの最新形式だ(筆者撮影)

扉の横に設置された身だしなみ用の鏡や、袖仕切りや貫通扉にガラスを多用した開放感あふれる車内などは、いずれもその成果である。また、運転席の背後は小さな子どもが前方や真下の景色を楽しめるように床が一段高くされ、大人気のスペースとなっている。現在は2編成が活躍を始めているのに加え、2021年度にかけてさらに7編成が増備され、開業時から活躍する車両などを置き換える予定となっている。

もう1つは、門真市駅から南への延伸だ。府道2号線に沿って近鉄奈良線まで路線を延ばすというもので、2020年4月に国土交通大臣から工事の施工認可を取得。2029年の開業に向け、建設へのゴーサインが出た。

途中に設置される4駅は、いずれも他の鉄道路線と乗り換えできる予定で、開業後は既存区間と合わせて10路線と接続することになる。モノレール沿線の人々はもちろん、これら接続する路線のユーザーも、通勤や通学、レジャーの幅が広がることだろう。

30年間にわたって大阪北部の発展に寄与してきた大阪モノレール。順調な経営状況を背景に、近年は車両に加えて駅施設のリニューアルも進んでいる。ますます存在感を発揮するであろう今後に期待したい。

伊原 薫 鉄道ライター

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いはら かおる / Kaoru Ihara

大阪府生まれ。京都大学交通政策研究ユニット・都市交通政策技術者。大阪在住の鉄道ライターとして、鉄道雑誌やWebなどで幅広く執筆するほか、講演やテレビ出演・監修なども行う。

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