相鉄「都心直通」の陰で姿を消した昭和の名車 今年11月に引退した新7000系の魅力を大解剖

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新7000系では車内表示器を設けたのも特徴で、路線図に停車駅をランプで表示して、次の駅や行先を案内していた。同じタイプの車内表示器を採用した同業他社では、ダイヤ改正による停車駅の変更を機に使用を取りやめて撤去したり、LED式に交換してしまったりという事例が多いなか、新7000系では特急の運転開始などで使用中止にしていた時期があったものの、停車駅の変更に合わせて表示器を改修、最後まで使いこなしていた。

新7000系の改良元となる7000系。こちらの形式も2019年までにすべて引退した(筆者撮影)

また、最後に登場した7715×10という編成では、現在の5号車と8号車の一部の座席が向かい合わせとなるクロスシートを導入したことも特徴的だった。通勤電車ではロングシートという、窓側に背もたれを設けた構造が一般的だが、相鉄線のような通勤・通学の路線でクロスシートを導入した例は珍しい。クロスシートを備えた車両もロングシートとの組み合わせで、セミクロスシートとよばれる座席配置だ。

クロスシートの車両は、後に登場した8000系や9000系でも導入されたが、最近の新型車両では導入されていない。筆者も相鉄線に乗るときはクロスシートの車両に当たるのを楽しみにしているが、仮に当たっても先客がいると座りづらい席でもあり、クロスシートの席に座れると少しうれしかったりするものだ。

同業他社の運転士がうらやむ「緑のランプ」

もう20年も前の話だが、現役の電車運転士と会話をする機会があった。「相鉄の電車には、ブレーキをかけると緑色のランプがつく電車があるんですよ。あれがウチの車両にも付いていたら便利ですねえ」とその運転士は話していた。新7000系など、相鉄の電車では車体側面に緑色の車側灯があり、ブレーキが動作すると点灯、ブレーキが緩むとランプが消える仕組みになっているが、「あれがついていると、ブレーキが緩んでいない車両が一目でわかるんですよ」という。

写真右側にある緑色の車側灯。ブレーキが動作した時に点灯した(筆者撮影)

自動車がサイドブレーキを利かせたまま走っていると重大なトラブルの原因となるように、電車もブレーキが緩まないまま走ることで、発熱のリスクを冒すことになる。現在では、センサーや車両のモニタリングの技術が大きく進歩して、ブレーキが緩まない状態は「ブレーキ不緩解」という故障が運転台の画面に表示される仕組みになっているが、当時は「ブレーキ不緩解」のモニタリングを行う水準になく、「走っているが、普段より重たい感じがする」「列車の後ろのほうから車輪が擦れる音がする」といった、運転士の五感に頼るしかなかったのだ。

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