文章がどうもうまく書けない人のための処方箋 目的と読み手を定め、素材を順番に並べよう
構成を考えるとき、文章を書くことを仕事にしている私がよくやるのは、これである。
「もしカフェで目の前に読者が座っているとして、しゃべって伝えるとすれば、どんな順番で話していくか」
しゃべって聞かせるように、といっても、もちろんしゃべることをそのまま文章にすればいいというわけではない。実際にしゃべるときには、話はあっちに行ったり、こっちに行ったり、止まったりすることもある。
それでも、それほど違和感なく話が聞けてしまうのは、聞き手が話だけを聞いているわけではないからだ。それこそ、話している人の表情、身振り手振り、言葉のトーンの高低などなど、いろいろな要素と話していることを、全体で理解する。だから、多少まごまごしても、違和感なく聞けるのである。
しかし、文章はそうはいかない。止まって、そこにあるのだ。となれば、スラスラとロジックが流れていないといけない。だから私がお勧めしているのは、ざっくりでもいいので、書く内容を一度、箇条書きにして抜き出すことから始めることなのである。それを眺めて、どういう順番で展開するかを考えるのだ。
たとえば、こんな素材があったとする。
・先代から事業を引き継いだ社長
・人を大切にすることを何より先代に教わった
・そのために工場を作り替えた
・工場は5年前に新設
・最新鋭の機械も入っている
・この5年間で、離職者はゼロ
・未経験でも学べる
さて、これをどう構成していくか。いきなり構成しようとすると、実は文章のプロでもやりようがない。しかし、こんなふうに条件を定めてみたらどうか。
文章の「目的」と「読み手」を定める
文章の目的=「人材採用のため」
読み手=「転職を考えている20代」
構成を考えるときには、こんなふうにまずは「目的」と「読み手」の条件を定めるといい。そうすることで、一気に考えやすくなる。この条件が与えられると、私ならこんな構成にする。
→・未経験でも学べる
→・会社は工場街・大田区にある
→・工場は5年前に新設
→・先代から事業を引き継いだ社長
→・人を大切にすることを何より先代に教わった
→・そのために工場を作り替えた
→・最新鋭の機械も入っている
「素材」をしっかり書き出していれば、こうした構成がやりやすくなる。そして、目的に沿って読み手にしゃべって聞かせるつもりで、「こうでこうでこう」という流れで考えてみるといい。まさにこれが、カフェで目の前に読者がいたとしたら、の意味である。
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