文章がどうもうまく書けない人のための処方箋 目的と読み手を定め、素材を順番に並べよう

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目の前に読み手が座っているとして、書き出した「素材」を使って、どう目的のための説明をするか。「こうでこうでこう」とつながりで考えていけばいい。これを言って、これを言って、これを言う、という順番を考えてみるのだ。

面倒でもちゃんと「見える化」しておくことで、スピードは一気に高まる。しかも、見ていただいたように、起承転結などいらない。話して聞かせるのも、読んで理解してもらうのも、実がコミュニケーションツールとしては、同じなのである。

「おっ」「えっ」「そうなんだ」「なるほど」で始めよ

だが、ここでひとつだけ注意したいのは、「書き出し」だ。もともと私は広告からキャリアを始めていること、また私自身が読むことが好きではなかったことも理由になるのだが、文章というものに極めてシビアな見方をしているのである。それは、

「できればだれも文章なんて読みたくない」

ということだ。これが、スタート地点なのである。となれば、なんとか読んでもらえる工夫を書き手がしなければならない。そこで気をつけたいのが、「書き出し」なのだ。あまりに凡庸なつまらない話から始まっていたら、読もうと思わないし、読んでもらえないのだ。

『文章の問題地図 ~「で、どこから変える?」伝わらない、時間ばかりかかる書き方』(技術評論社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

「書き出し」には、この4つの反応を意識している。

「おっ」(意外なこと)

「えっ」(びっくりすること)

「そうなんだ」(強く共感すること)

「なるほど」(新しい発見)

こんなふうに感じることから始まっていれば、読みたくなくても読む気になるかもしれない。間違ってもやってはいけないのは、「私は〜」から始まる文章である。私が書いているのだから、あまりにも当たり前すぎる書き出しだ。これだけは避けることである。

だが、あとは「起承転結」などのセオリーにとらわれず、「目的」と「読み手」を定めて、「話すならどう展開するか」で考えてみるといい。文章もコミュニケーションツールなのだから。

上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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