2ちゃん創設者が分析「炎上を起こす人」の生態 ネットには「金はないが時間はある」暇人が多い

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つまり、日本人は、不寛容で選択肢の少ない息苦しい世界で、我慢しながら長生きしているということになります。上位を占めている北欧の国家は、税金が高い代わりに福祉が充実していることで有名です。

例えば、デンマークは消費税が25%と高くなっている一方で、医療費や教育費は基本的にかかりません。スウェーデンは育休が父母合わせて480日取得でき、最初の390日間は給与の8割が受け取れます。こういう社会福祉制度について、日本は著しい後進国だから少子化も解決できないのだと思います。いまだに抜本的な取り組みがなされていないのが現状です。

どうも、日本人には、それが辛く苦しいことであっても、「自分たちがしてきたことは次の世代もするべきだ」という呪縛があるようなのです。

日本人に深く根付いている「苦労信仰」

それが色濃く表れている例があります。日本の分娩事情を知っているでしょうか。

フランスでは約8割の妊婦さんが無痛分娩を選び、国がその費用を負担します。ところが、日本では保険適用外で無痛分娩を選ぶのは約6%。もちろん、費用の面で無痛分娩を選ばない人は多いでしょう。ただ、それを踏まえても、フランスの13分の1というのはあまりに少なすぎるように思います。この数字の乖離はどこから来るのか。僕は日本の「空気を読む国民性」に理由があるように思えてなりません。

お産というのは、痛い思いをして当たり前だから。これまでみんな、そうしてきたんだから。お腹を痛めたからこそ、わが子はかわいいのだ。妊婦の母親がこのような主張をして、無痛分娩に反対するケースがよくあるそうです。まさに前の世代から続く呪縛といえます。

ビジネス界も同様です。多くの日本の職場では「俺たちはみんなこうしてきたんだ」という理論がまかり通っています。苦労は買ってでもするもんだ。いちいち聞かずに周りを見て覚えろ。とにかく「はい」と言えばいいんだよ。これまた、エビデンスはまったく見当たりません。もっとも、上司が部下に何か命令するのは組織として当然です。

しかし、残念なことではありますが、見当違いな上司もいますから、その命令が合理的とは限りません。時代についていけない考え方で若い部下を頭ごなしに怒鳴りつけていると、組織はどんどん弱体化していってしまいます。普通に考えれば、自分たちが、苦しかったり辛かったり不合理に感じたりしたことは、次の世代にはさせないようにするのが、組織としての合理的な振る舞いでしょう。

ところが、多くの職場で先輩たちは、自分たちと同じように後輩が不合理な目に遭うことを求めているのです。学校でも、こうした不合理なルールが代々受け継がれているように思います。「空気を読む」「しきたりに従う」のは、狭い世間の中で周りの人と問題を起こさずにうまくやっていこうという、先祖代々から続く日本人の処世術のようなものなのかもしれません。

ただ、ここまで世界がグローバル化し、多様化してきている時代には、その処世術がむしろ「生きづらさ」につながっています。とくに「自分がした苦労を他の人にもさせる」のは、自分に何の得もなく、相手を苦しめるだけです。まさに百害あって一利なしなので、なるべく早く日本全体がこの呪縛から抜け出すべきなのです。

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