やる気が出ない人が疑うべき「ある病気」の正体 「最近TVドラマが退屈になった人」ほど要注意

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「なんだ、じゃあ自分のど忘れは単なる年のせいか」

そんなふうに安心するのもちょっと待ってください。もしかしたら、そのど忘れは認知症の前段階である「MCI(軽度認知障害)」の初期症状かもしれないからです。

MCIというのは認知症につながるプロセスの期間で、言うなればグレーゾーンの段階です。その初期症状が出てきたということは、認知症に向かってカウントダウンが始まったと言っていいでしょう。MCIが始まってから本格的な認知症に移行するまで、平均7年と言われています。

とはいえ、進行の度合いには個人差があり、1年後に12%、4年後には約50%が認知症を発症するとも言われています。その一方で、この段階で気づき、適切な対応がなされれば、健常な状態に戻ることもできるのです。

本記事では、一般の方にもわかりやすいように、MCIのことを健常と認知症の間の状態という意味で「認知症グレーゾーン」と表現することにします。

「めんどうくさい」はとても危険な兆候

認知症グレーゾーンの人には、固有名詞が出てこない、時系列が混乱するといったこと以外に、もう一つ特徴的な変化が見られます。それは気力の減退です。

今まで当たり前のようにきちんとやっていたことを、なんでも「めんどうくさい」と感じるようになり、「次でいいか」と考えてサボったり、先送りしたりするようになる。もともとそういう性格の人は別として、50代、60代で急に「めんどうくさい」「今度でいいか」が増えてくることは、実はとても危険な兆候です。

認知症は記憶が失われてしまう病気ですが、その入り口は“やる気”が失われることから始まります。この時期がまさに認知症グレーゾーンの初期段階で、そのまま放っておけば、認知症に向かって一直線に進んでしまいます。

もちろん、40〜50代になると、体力的にも精神的にも衰えてきます。一方で仕事は忙しく、子どもの進路や親の介護の問題なども出てくる時期ですから、めんどうくさい気持ちは起こりやすくなります。

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