村上世彰がN高で語る「ニトリ、島忠TOB」の評価 高校生に対話を通じて株式投資の哲学を伝授
部員:投資部の活動に参加するにあたって、『村上世彰、高校生に投資を教える。』を読みました。その中で、村上さんは子どもの頃から投資をしていたということが書かれていましたが、村上さんが子どものときには、どのようして投資の勉強をしたのですか。
村上: 私は子どもの頃から、日経新聞と会社四季報を読んでいました。もちろん、これらを隅々まで読むというのは、子どもにとっては大変なことなので、まずは自分が関心のある記事を見つけて読んだり、関心のある会社を見つけて会社四季報を見たりしていました。
株式投資をやるうえで、日経新聞と会社四季報に親しむというのは、やはり一つの有効なことなのかなと思います。新聞は、ざっと見渡して関心のある記事を読むことから始めれば良いと思います。徐々に関心のあるテーマが広がり、新聞を読む範囲は自然と広がっていくはずです。
四季報は、全上場企業のデータと近況をコンパクトにまとめた情報誌として、最も優れたものだと思います。ページをめくると、興味をひかれる企業、関心をひかれる投資テーマなどがいくつも見つかると思います。
このように、投資に必要な情報がいろいろと得られると思いますし、それを元に、今後の経済の流れはどうなるか、どんなビジネスや会社が伸びるのかということを自分で考えることが大切です。
敵対的TOBの意義とは?
部員:10月29日に、ニトリホールティングスが島忠に対するTOB(株式公開買い付け)を行うことを発表しました。ニトリは、島忠の賛同が得られなくてもTOBを強行する、つまり敵対的TOBも辞さないと表明しています(編集部注:11月13日に島忠はニトリの買収提案を受け入れた)。
敵対的TOBは、村上さんが日本で初めておこなったと聞いています。敵対TOBというと、日本ではあまりイメージが良くないですが、どのような意義があるのか教えてください。
村上:島忠に関しては、数年前から株を買い、株主として経営の改善を求めてきました。島忠の経営陣が、会社のもつ資源を十分に生かしているとは思えず、企業の価値を十分に高めているとは思えなかったからです。私はこれまで、経営資源がきちんと生かされていない会社の株を買っては、経営改革を迫るということを行ってきました。島忠もその一環です。
経営資源が十分に活かされていない状態というのは、株主にとって不幸なだけでなく、従業員にとっても不幸なことです。さらに、経済全体が停滞する原因にもなっており、社会全体にとっても不幸なことなのです。
私としては、投資家として行動を起こすことで、こうした状況を正していきたいという気持ちを常に持っています。上場企業の経営者たちが、経営資源を生かしてまじめに取り組めば、日本経済は大きく浮上できると思っているからです。
つまり、私としては、まじめにやっていない経営者に対して、「もっとまじめにやりなさいと」と言うつもりで敵対的TOBも含めた「物言う株主」として活動しているわけです。実際に、これまで私が関わってきた会社の多くは、業績、企業価値、株価も上昇させてきました。そのことは株主にとっても従業員にとっても社会にとっても有益なことだったと思っています。
島忠の件も、ホームセンター大手のDCMとニトリがTOBに乗り出しました。株価はここ数年3000円前後で推移していましたが、ニトリによるTOB価格は5500円でした。ニトリの経営陣から見ると、島忠は5500円以上の価値があるが、島忠の経営陣は経営資源を十分に生かしきれていないと判断したわけです。これによって株主は大きな利益を得ることになり、島忠も企業価値を大きく向上させられると思います。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら