東大発ベンチャーが仕掛ける新しい「音楽教室」 オンラインで本格講座、巣ごもり需要が追い風

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いまはZOOMなどの配信システムが発達しているため、オンラインであっても、レッスンをライブ配信し、受講生と直接やりとりすることも可能だ。しかしフォニムではあえて「非同期」とした。

非同期であれば、レッスンを録りだめすることができ、講師の負担が極端に少なくなる。受講生は時間に縛られずに好きな時、好きな場所でレッスンを受けることができる。もちろん、オンラインなので、リアルな音楽教室に必要な地代家賃は不要になる。

独自の教材こそが命

従来の音楽教室では講師との直接的なやりとり、つまり「同期」こそが重要だった。それをオンラインを使って「非同期」にすれば、さまざまなコストを軽減できる。そしてそこで浮いたおカネで一流の講師を呼び込むことができるという仕掛けだ。

電子楽器の性能向上もオンライン教室を可能にする一要素になる(記者撮影)

ただし、非同期でも効果の上がるレッスンでなければならない。そこでポイントになるのが、「教材」だ。フォニムではすべての分野で独自の教材を用意。内容は本格的で、たとえば今後スタートを予定している声楽では、米フロリダ州立大学の教授の監修の下、教材を作成した。従来の音楽教材のように単に練習曲が並んでいるのではなく、理論を基礎から解説。いわば講師が教えていた内容を体系化し、言語化した教材を作った。

フォニムのビジネスモデルは、こうした独自コンテンツを持っているがゆえに可能になる。宍戸社長は「単なるマッチングアプリやコミュニティーサービスではなく、実業をやりたいという思いが強かった。だからこそ、独自コンテンツの作成に一番時間をかけている」と語る。

宍戸社長は弱冠26歳。東京大学経済学部を卒業してすぐにフォニムを設立した。小さいときからピアノを習い、高校までは本気でピアニストになるつもりだった。師事していていた先生から「ピアニストになるには英語や西欧の歴史を勉強しておいたほうがいい」と言われたことをきっかけに、勉強を開始。一度も予備校に通わず、参考書だけで東大に合格してしまったという秀才だ。

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