病院のWebサイトが美しくてもほぼ意味ない訳 最低限の見た目で予約ができれば患者は満足

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多くのローカルビジネスにおいて、新規顧客獲得はグーグルマップなどのポータルに依存せざるをえない。病院個別のWebサイトに投資しても、大きな効果は見込めないのが現実である。

既存顧客向けの施策はデジタル化しやすい

一方で、既存顧客のリピート率を高めるという目的であれば、病院個別のWebサイトが担う役割は大きい。病院を例にとれば、いつ空いているか、いつ混んでいるかなどの情報は、来院を後押しする手助けとなる。さらに、インフルエンザの予防接種、花粉症の薬など、季節性のある情報をちゃんと発信しているかどうかでも、リピーターの来院率は大きく変わるだろう。

『デジタルマーケティングの定石~なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?』(日本実業出版社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

既存顧客への通知も非常に重要だ。例えば、一部の歯医者は定期検診を促すハガキ(紙)を半年に1回ほど郵送しているが、こうした既存顧客向けの施策はデジタル化しやすい。メールやSNSは無料で既存顧客に情報を届けられるため、ハガキよりも高頻度で接触でき、リピート率を高められる。

このように顧客情報を獲得し、無料で通知する施策は非常に有効だ。飲食店なら季節の新規メニュー、美容ならカットのリマインド、ホテルなら空き室が多い日の限定クーポンなど、さまざまな施策が思い浮かぶだろう。

Webサイトを作る前に、まずは目的やターゲットユーザーの定義が必要だ。「とりあえず家を構えておこう」というような気持ちで作られたWebサイトでは、当然ながら売り上げに貢献するはずがないだろう。

垣内 勇威 WACUL代表取締役

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かきうち ゆうい / Yui Kakiuchi

東京大学経済学部卒業後、株式会社ビービット入社。大手クライアントのWeb改善コンサルティングに携わる。2013年、株式会社WACUL入社。
データ分析から改善提案や成果の測定といった「Webマーケティングの売上拡大のPDCA」をAIが支援するSaaSツール『AIアナリスト』を生み出す。現在は取締役CIO(Chief Incubation Officer)兼WACULテクノロジー&マーケティングラボ所長として、さらなるノウハウの構築と新規プロダクトの創出を担当。3万サイト超の分析とユーザ行動観察から得たデジタルマーケティングの知見を、研究所レポートやTwitter、講演・セミナーなどで発信し、その痛快かつ明快な語り口で人気を博す。

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